2024年のグローバル鉄鋼業界は、複雑な様相を呈している。生産量において、中国の鉄鋼企業は圧倒的な規模の優位性を示している。世界の粗鋼生産量ランキングTOP10のうち、中国企業が6社を占め、特に中国宝武鋼鉄集団は1億3000万トンの生産量で世界1位に君臨している。これは2位のアルセロールミタル(6500万トン)の約2倍に相当する。しかし、利益の面では驚くべきギャップが存在する。中国で最も利益を上げている上場鉄鋼企業4社――宝鋼股份、中信特鋼、南鋼股份、華菱鋼鉄――の2024年の純利益の合計は、日本製鉄1社の利益に遠く及ばない。

具体的なデータを見てみよう。2024年、宝鋼股份の純利益は73.62億元、中信特鋼は51.26億元、南鋼股份は22.61億元、華菱鋼鉄は20.32億元で、合計約167.81億元(人民元)となる。一方、日本製鉄は2024年12月31日までの会計年度の最初の9カ月間で、純利益が3620.77億円(約180億元)に達し、通年の利益は中国の4社合計を大きく上回る。
日本製鉄の利益が大幅に増加した背景には、一連の改革措置がある。2019年度(2020年3月期)に過去最大の赤字を記録した後、日本製鉄は収益構造の抜本的な見直しに着手した。経営理念の革新として、「従業員の自信の安定」「従業員の意識改革」「企業風土と文化の再構築」という3つの戦略を掲げた。さらに重要なのは、コスト管理と製品イノベーションへの取り組みである。
コスト管理と生産の最適化に関しては、長年にわたり積極的な施策を展開してきた。例えば、米国鉄鋼会社を買収した際の対応が挙げられる。米国鉄鋼は長年、稼働率の低さ(約70%)や変動費の高さといった問題を抱え、市場競争力が著しく不足していた。買収初期から、日本製鉄は40人の技術者を米国に派遣し、生産方法の未熟さや歩留まりの低さといった課題に取り組んだ。生産プロセスの段階的な改善、設備体系や物流システムの継続的な最適化を通じて、変動費の削減に成功し、生産効率と製品品質を大幅に向上させた。
製品構造の調整においても、日本製鉄は優れた先見性を見せている。この分野での長年の積極的な取り組みが顕著な成果を上げている。例えば、高付加価値製品の開発や新市場への展開を通じて、競争力をさらに強化している。
このように、中国鉄鋼企業は生産量で圧倒的な地位を築いているものの、利益面では日本製鉄の戦略的な改革と技術革新に大きく水をあけられている。今後、中国企業が利益率の向上を図るためには、コスト管理の強化や製品の差別化、さらには企業文化の変革といった日本製鉄の成功事例に学ぶ必要があるだろう。グローバル鉄鋼業界の競争がますます激化する中、持続可能な成長を実現するための新たな戦略が求められている。
(中国経済新聞)