7月28日、中国国務院新聞弁公室が開催した「『十四五』計画の質の高い達成」に関するテーマ別記者会見において、国家税務総局の蔡自力副局長が個人所得税(以下、個税)の最新データを公表した。2021年から2024年の個税申告データによると、年収上位10%のグループが個税全体の約9割を負担している。一方、総合所得の年収が12万元(約240万円)以下の個人は、年度末の精算(匯算清繳)後、基本的に所得税を納める必要がない。この結果は、「高所得者は多く納税し、中低所得者は少なく納税するか、または納税不要」という個税の所得分配調整効果が持続的に現れていることを示す。
中国の個人所得税制度は、所得格差の是正と社会の公平性を促進する重要なツールである。2018年の個人所得税法改正以降、税制は累進課税を強化し、高所得者により高い税率を適用する一方、低所得者への負担を軽減する方向で設計されてきた。現在の個税の課税基準点(起征点)は月収5000元(約10万円)で、これに子女教育、住宅ローン利息、高齢者扶養などの特別附加控除が加わることで、中低所得者の税負担がさらに軽減される。
蔡副局長の発表によれば、年収12万元以下の個人は、特別附加控除やその他の控除を適用した後、ほとんどの場合、納税額がゼロになる。これは、特に中低所得層の生活負担を軽減し、消費力の向上や経済の活性化に寄与する政策である。2023年のデータでは、個税の免税対象となる年収12万元以下の納税者は全体の約7割を占め、税制の公平性と再分配機能が効果的に機能していることがうかがえる。
中国の個税制度は、7段階の累進税率(3%から45%)を採用し、所得が高いほど税率が上がる仕組みだ。たとえば、年収12万元以下の個人は、控除後の課税所得が少額であれば税率3%が適用されるが、控除額が大きい場合には納税義務がなくなる。一方、年収上位10%の高所得者は、30%から45%の高い税率が適用され、個税収入の大部分を負担する。この構造は、所得格差の縮小と社会の安定に寄与する。
国家税務総局のデータによれば、2024年度の個税匯算清繳では、約1億人以上の納税者が還付を受け、総額は数千億元に上る。これは、中低所得者への税負担軽減が実質的な経済支援となり、消費拡大や内需促進に繋がっていることを示す。一方で、高所得者の税負担が増加することで、公共サービスやインフラ投資の財源が確保され、国の発展を支える。
(中国経済新聞)