希荻微(Halo Micro)、3年間で赤字3.6億元超ながら誠芯微を高額で買収

2025/07/15 16:30

2022年の上場から赤字額が膨らみ続けている希荻微(Halo Micro 688173.SH)は、これまで2度にわたり大規模な資産の買収を行い、さらにまた3件目の買収を進めている。先ごろ発表した再建報告書(原案)によると、株式の発行ならびに現金払いにより深セン市の誠芯微科技の株式100%を買収予定という。取引額は3.10億元(約63.80億円)で、これによる資産増加率は214.37%である。また、最大35人の特定投資家に対し株式を発行する形で、最高で9948.25万元(約20.48億円)を調達する予定という。

希荻微(Halo Micro)の本社ビール

業界関係者によると、最近3年間で累積赤字額3.65億元(約75.12億円)以上となっている希荻微が、今回の高額な買収案件で挽回を果たせるかは今のところ定かでないという。

誠芯微の株式100%買収で資産額が214.37%増加

希荻微は再建報告書によると、株式の発行ならびに現金払いにより、曹建林氏、曹松林氏、および提携先である深セン市の鏈智創芯管理諮詢(有限パートナー)と匯智創芯管理諮詢(同)が所有している誠芯微の株式全額を取得する。支払い額は、株式発行による分が55%、現金払いが45%で、これにより誠芯微は希荻微の全額出資子会社となる。

希荻微は、電源管理ICやシグナル・チェーンICなどアナログ集積回路の開発や設計、販売を手掛け、誠芯微はAC-DCやDC-DCのIC、モーター系IC、MOSFETなどを製造する電源管理IC業者であり、今回の取引は同業間買収となる。

誠芯微は2022年~2024年の3年間、売上高は年間ベースで順に1億6680.17万元(約34.33億円)、1億9159.58万元(約39.43億円)、1億9746.31万元(約40.64億円)で、純利益は同じく562.01万元(約1億1566万円)、1795.39万元(約3億6949万円)、2170.89万元(約4億4677万円)であった。

3年連続で赤字ながら買収を繰り返す

一方の希荻微は上場以来、経営不振が続いている。2022年度~2024年度は売上高が年間ベースで5億5947.90万元(約115.14億円)、3億9363.23万元(約81億円)、5億4551.06万元(約112.27億円)で、純利益は同じくー1515.25万元(約ー3億1184万円)、ー5418.46万元(約ー11億1512.11万円、ー2億9535.33万元(約ー60.78億円)となっている。この3年間で累積赤字額が3.65億元(約75.12億円)以上、それも年々膨らみ続けている。

希荻微社の製品紹介

これついて希荻微は、アナログICの激しい市場競争で利益率が低下していることを理由に挙げている。また成長維持に向け、技術を蓄積するため研究開発費は抑えず、かつ増加の一途をたどっている。2023年度はボイスコイルモータの駆動用ICを手掛け始めるなど事業内容が拡大したことで、研究開発や管理費、販売費などが増大している。

ただ希荻微は、こうした中で買収活動を繰り返している。上場後、2022年には韓国のドンウン・アナテックが所有している大中華圏のAF&OIS特許の独占使用権を2100万ドルで取得、2024年には同じく韓国で上場している半導体設計会社Zinitixの経営権を210.05億ウォンで取得するなど、2度にわたり大規模な資産の取得を実行している。

このように買収を繰り返すことについて希荻微は、「今回の2件はいずれも事業の拡大や市場開拓といった重要な取り組みであるが、買収の中身や目的は異なっている」と説明する。

ドンウン・アナテックの買収については、とりわけ協調性が鮮明であるAF&OISの特許のみが対象であって、この技術を取得することで技術体系や製品の枠組みのさらなる整備につながるという。またZinitixについては経営権の取得であり、中国国内での事業と協調させるほか、本体を買収することで海外の顧客開拓につながり、一部ユーザーにおけるサプライヤーへの資質に対する要望に応えるものという。Zinitixの買収後、韓国で同社を拠点としてローカルスタッフによる運営モデルを実行している。

希荻微は今回の誠芯微の買収について、「対象となるのは誠芯微の株式100%であり、相手先も自社も中国のアナログIC設計会社であって、製品や技術、販売、購買などでかなりの協調効果が生まれる。今回の全面的な買収で相手先との統合を果たし、製品も整って事業化への道のりが急速に開けてくる」と表明している。

(中国経済新聞)