「1人当たり393.7平方メートル!」この驚くべき数字が中国国家審計署の発表で明らかになったとき、誰もが目を疑ったに違いない。これはオフィススペースではなく、従業員1人1人に豪邸を割り当てているようなものだ。深圳市に拠点を置く国有企業の子会社、金電雲(深圳)数字科技有限公司は、わずか10人の従業員で3937平方メートルのオフィスを賃貸している。そのうち3041平方メートルが長期間にわたり使用されずに放置されている。この常識外れの数字は、国有資金の管理における深刻な監視の欠如を露呈している。

国家審計署の発表によると、中国に属する8つの機関で「享楽主義」や「贅沢な風潮」が確認され、違反金額は合計1819.43万元(約3億6600万円)に上る。例えば、中国科学院傘下の空天信息創新研究院の子会社は、2023年8月以降、従業員の活動やビジネス接待のために344平方メートルの不動産を153万元(約3090万円)で賃貸している。また、中国人民銀行傘下の中国金融電子化グループの子会社である金電雲(深圳)数字科技有限公司は、10人の従業員に対し、3937平方メートルのオフィススペースを賃貸し、1人当たり393平方メートルという過剰な面積を使用している。
中国の『党政機関辦公用房建設標準』では、郷級機関の指導者のオフィス面積は24平方メートルを超えてはならないと定められているが、この国有企業子会社の人均面積は政府基準の39倍に達する。さらに皮肉なことに、3041平方メートルの未使用面積は、標準的なバスケットボールコート42個分に相当する。
こうした数字の裏には、国有資産の「慢性的な失血」が潜んでいる。1819万元の不正資金があれば、農村部に10校の小学校を建設したり、3000人の留守児童に1年間の栄養食を提供したりすることが可能だ。国有資金の無駄遣いは、単なる数字の問題ではなく、社会的公平性と資源配分の深刻な課題を浮き彫りにしている。
(中国経済新聞)