旅日パンダ「タンタン」の遺骨、中国へ返還される

2025/06/28 11:30

6月26日、神戸市立王子動物園は、昨年亡くなったジャイアントパンダ「タンタン」(中国名:爽爽)の骨格遺骸を中国側に返還したことを明らかにした。

タンタンは1995年9月16日、中国四川省にある中国大熊猫保護研究センターで生まれた雌のパンダだ。2000年に日中友好の象徴として来日し、神戸市立王子動物園で24年間、多くの来園者に愛され続けた。

その穏やかな姿とつぶらな瞳は、神戸の人々にとって癒しと希望の存在であり、震災後の街に笑顔を取り戻してくれる存在でもあった。

2021年、タンタンは心臓疾患を患っていることが判明した。これを受けて、日本と中国の専門家による合同診療チームが組まれ、細やかな治療と看護が続けられてきた。一時は症状が安定し、再び元気な様子を見せていたが、2024年に入り容体が悪化。3月31日、その心臓は静かに鼓動を止め、28年の生涯を終えた。

28歳の大熊猫は人間で言えば百歳近くに相当し、まさに大往生だったと言える。長年の飼育と医療に携わってきたスタッフにとって、その別れは言葉にできないほどの喪失であり、来園者からも多くの追悼の声が寄せられた。

そしてこのたび、タンタンの遺骨が中国に返還された。これは生前からの取り決めに基づくものであり、タンタンが生まれ育った故郷の地に戻ることで、その存在が改めて中日友好の証として語り継がれていくことが期待されている。

王子動物園の関係者は、「タンタンは私たちにとって家族のような存在でした。今こうして祖国へと還ることができたのは、彼女にとっても幸せなことだと思います」と語った。

なお、動物園には現在もタンタンを偲ぶ記帳スペースが設けられており、多くの来場者が足を止め、静かに手を合わせている。

長きにわたる旅を終えたタンタン。その穏やかな姿は、これからも多くの人々の心の中に生き続けていくことだろう。

(中国経済新聞)