世界最大規模の建設市場を誇る中国において、都市更新(アーバン・リニューアル)の加速が、海外企業の新たなビジネスチャンスとして注目を集めている。フランスの総合建設企業グループであるアコタップ(Arcadis&TYP)は、同じくフランスのシャボンジェ建築事務所(Chapman Taylor)との間で、上海における戦略的業務提携を発表した。
同日、アコタップの中国法人は、シャボンジェ建築設計諮詢(上海)有限公司(CADC)への株式出資を行うことを決定。取引は2025年半ばに完了予定となっている。
アコタップ中国・東アジア地域のエグゼクティブディレクターであるドゥヴィル氏は、第一財経(Yicai)とのインタビューで、「中国は飛躍的なスピードで発展する市場だ。今回の提携を通じ、両社は中国の急速な都市化とエコロジー転換に対して、創造的なソリューションで挑む」と述べた。
また、同氏は「これまで我々は、フランスの建築・エンジニアリングの経験と中国の現場実践を融合させてきた。現在では、逆に“チャイナ・エクスペリエンス”を海外に輸出する取り組みも進めている」と語った。
世界経済フォーラムとボストン・コンサルティング・グループが共同発表した報告書『グリーン建設バリューチェーンの構築:中国の経験と世界的視点』によれば、2030年までにグリーン建築による世界市場は1.8兆ドル規模に達する見込みだ。
アコタップはすでに2032年までに、全事業においてグリーン建築基準を100%達成する目標を掲げており、ドゥヴィル氏は「貴陽でサフラン・グループのエンジン工場を設計した際には、炭素排出を40%削減するエネルギーシステムを導入した実績がある」と強調した。
今回の提携相手であるシャボンジェ建築事務所は、1984年に中国市場に参入して以来、都市設計、ゼロカーボン建築、気候変動への都市対応といった分野で数多くの実績を有している。
同事務所のパートナーであり、パリ本社大中華圏総監のパン・ミンディン氏は、「都市化が進む中で、中国でもフランスでも、歴史的都市構造の維持、気候変動に対応した“スポンジシティ”の構築、そしてテクノロジーに頼りすぎない持続可能な都市づくりなど、共通する課題がある」と述べた。
シャボンジェ建築事務所は過去40年間で、上海のランドマーク建設に数多く携わるとともに、近年では創造的なアプローチにより歴史的資産や産業遺産の再活性化にも取り組んでいる。
今回の両社の提携により、都市再開発とグリーン建築が交差する中国市場において、フランスの技術と創造力がどのように展開されていくのかが期待される。
(中国経済新聞)