中国初の医療AI上場企業・訊飛医療科技、今後2年での黒字化を見込む

2025/06/27 07:30

中国の音声認識大手・科大訊飛(iFLYTEK)傘下の訊飛医療科技(iFLYTEK Healthcare Technology)は、2024年12月30日に香港証券取引所に上場し、「中国初の医療AI上場企業」として注目を集めた。同社は、医療用大規模言語モデル(LLM)の商用化を推進する先駆者の一つであり、上場から半年後となる2025年6月、陶暁東(Tao Xiao Dong)総裁はインタビューで「今後1〜2年以内に黒字転換できる見通し」との見解を示した。

陶氏は、「同じ疾患でも患者によって接し方が異なる」と述べた上で、「医師は経験から適切な対応を即座に判断できるが、大規模AIモデルはその領域にまだ到達していない」と現状の技術的限界を指摘。一方で、AI活用に対する病院・政府・患者の関心が高まっており、「需要と予測に基づけば、事業の収益化は近い」と自信をのぞかせた。

2024年の財務報告によれば、訊飛医療科技の売上高は前年比32%増の7.34億元(約153億円)に達したが、最終損失は1.33億元(約27.7億円)と、前年から若干の減少(約0.12億元減)にとどまった。親会社である科大訊飛は、同社の株式49.42%を保有しており、2024年の「スマート医療」事業の収益は6.92億元で、グループ全体売上の2.96%を占めた。

訊飛医療科技は、現在の上場企業の中でも数少ない「AIを主軸に据え、医療システム全体にサービスを提供」する企業であり、G端(政府)、B端(医師)、C端(患者)向けの製品を展開している。主なプロダクトには、AI診断支援の「智医助理」、病院向けスマートソリューション「智慧医院」、保険管理システム「智慧医保」、診療後の患者フォローAI「AI診后管理」、AI健康アシスタント「訊飛暁医」、医療画像クラウド・解析支援、スマート医療機器などが含まれる。

最新の動きとして、2025年6月24日、訊飛医療科技は新たに「星火医療大模型V2.5国際版」を発表し、一般ユーザー向けアプリ「訊飛暁医」をアップデート、香港版もリリースした。「訊飛暁医」は健康情報の提供を目的とし、今回のバージョンでは、よくある症状や疾病、医薬品に関するデータベースを拡充。さらに、医療用大規模モデルのベンチマークであるMedBenchの最新ランキングでは、訊飛の星火モデルが総合得点98.4点で1位に輝いた。

V2.5国際版は専門診療領域における対応能力をさらに強化しており、訊飛医療科技は今後も国際市場への本格進出を視野に入れている。

(中国経済新聞)