中国政府が最近強化している公的機関向けの「禁酒令」政策の影響を受け、茅台酒や五粮液といった高級白酒の価格が急落している。
6月25日、中国の酒類情報プラットフォーム「今日酒价」によると、2025年製の飛天茅台(53度・500ml)の原箱価格は1本あたり1830元(約3万7100円)で、前日比で85元(約1725円)下落。バラ売り価格も1780元(約3万6140円)となり、前日から70元(約1420円)の値下がりとなった。2024年製の飛天茅台も同様に下落しており、原箱価格は1890元(約3万8400円)、バラ売りは1830元(約3万7100円)となっている。
また、43度の飛天茅台や1kgボトル製品も値下がりし、1kg製品は過去2日間で170元(約3450円)下落、下落率は約5%に達した。

6月11日には、2025年製のバラ売り飛天茅台が2000元(約4万600円)の「心理的下限」を割り込み、以降価格の下落傾向が加速している。6月15日には、2025年製原箱および2024年製バラ売りも同様に1990元を下回り、6月20日には2024年製原箱も「防衛ライン」を突破した。
6月22日には、飛天茅台のバラ売り価格がついに1900元(約3万8600円)を下回った。年初には1本あたり3800元(約7万7100円)で取引されていた「生肖蛇」シリーズは2230元(約4万5300円)にまで暴落し、過去最低価格を記録。ピーク時からの下落率は41%を超える。今年発売された「笙楽飛天」シリーズも高値から32%超の下落を記録し、「15年飛天茅台」も年初比で12%以上値を下げている。
電商プラットフォーム上の小売価格も急落しており、6月22日には拼多多(Pinduoduo)にて、飛天茅台の2本セットが1本あたり1800元(約3万6500円)で販売され、43度版では800元(約1万6200円)を下回る価格帯も確認されている。
山東省済南市の市民・王さんは「今や茅台はなかなか売れなくなった」と語る。複数のギフト品リサイクル業者は茅台の買取をすでに一時停止。ある買取業者は、「現在は1700〜1800元(約3万4500円〜3万6500円)の買取価格だが、この水準では赤字になる」と述べた。また、オフラインの一部販売業者ではすでに1980元(約4万円)まで価格が下落し、「茅台の価格はまさに“一日一価”の状況」とコメントしている。
同様に、五粮液も価格下落に直面しており、6月22日時点で52度・500mlおよび5Lボトルの卸売参考価格は年初比でそれぞれ4.74%および18.18%下落。電商サイトでは、52度・500mlの小売価格が800元(約1万6200円)を下回っており、販売店は「偽物なら10倍返金」を保証する状況となっている。
業界関係者は「茅台に対する金融属性が薄れ、供給も絞られていない一方で、需要が減少していることが主因」と分析し、価格のさらなる下落を予想。「1499元(約3万円)を下回る可能性も否定できない」との見方を示した。また、茅台の値下げは他の高級白酒ブランド、特に五粮液のような“第二ブランド”に対して価格圧力と需要の分散を招くリスクもあるとして、業界全体に波及する懸念も高まっている。
(中国経済新聞)