違規飲食の是正、中国で過剰な「一律規制」に批判高まる

2025/06/20 19:00

中国共産党中央委員会が今年、公務員の違規飲食問題の是正を求める方針を打ち出し、利害関係者からの不適切な接待や勤務中の飲酒などを厳しく禁止した。しかし、現在進行中の違規飲食の特別是正キャンペーンにおいて、一部地域で過剰な規制や形骸化が問題となり、国民に困惑と不安をもたらしている。人民日報はこれを批判する記事「違規飲食の禁止は、飲食そのものの禁止ではない」を掲載し、議論を呼んでいる。

人民日報の記事によると、違規飲食の是正は、本来「精密な外科手術」のような正確さが求められるが、一部の地域では「乱暴に振り回されるハンマー」のような運用が横行している。具体的には、どんな会食も調査対象となり、どんな宴席も介入を受ける状況が生まれている。たとえば、「一碗の麺を食べただけで高額な罰金」を課されたり、自己負担で2~3人の友人と食事をすることも許されないケースが報告されている。一般の党員や公務員は、食事のたびに戦々恐々としているという。

こうした「過剰な規制」は、一見「積極的な取り組み」に見えるが、実際は政策の誤解釈や民意への無関心に基づく怠惰な行政姿勢の表れだと記事は指摘する。形式主義的な対応で能力不足を隠し、精密なガバナンスの代わりに単純で乱暴な方法が採用されている。これにより、違規飲食是正の本来の目的が損なわれ、効果が大きく低下する恐れがある。

問題の核心は、こうした過剰規制の「ルール」がどこから生まれ、どのように施行されているのかにある。明らかに不合理な「上乗せ規制」が、どのようなガバナンスの混乱や論理の欠如のもとで生み出され、実施されているのかを真剣に検証する必要がある。記事は、こうした問題の背景を放置すれば、今回の形骸化が収まっても別の歪みが生じ、過剰規制がなくとも「一刀両断」式の対応が繰り返される可能性があると警告している。

違規飲食の是正は、公務員の腐敗行為を根絶するための重要な取り組みだが、過剰な一律規制は国民の日常生活にまで影響を及ぼし、政策への信頼を損ねかねない。中国政府は、ガバナンスの精度を高め、形式主義を排した実効性のある対策が求められている。

(中国経済新聞)