李書福氏:世界の自動車産業は深刻な過剰生産能力、吉利は新工場建設を凍結

2025/06/9 09:59

6月7日、重庆で開催された「2025中国自動車重庆フォーラム」の閉幕総会で、吉利控股集団の李書福董事長がビデオ講演「自動車と道」を発表した。李氏は、自動車技術や形態がどのように変化しようとも、100年にわたる自動車産業の根幹は不変であり、「四つの車輪と二つのソファ」という基本構造は変わらないと強調した。「技術がどんなに進化しても、核心は変わらない」と述べた。

李氏は、「電気自動車も内燃機関車も共に自動車であり、追い越しがカーブでもレーン変更でも、『道』を離れることはない」と語る。中国の自動車産業は、世界の目にさらされ、ユーザーの厳しい評価と批判に直面しながら、「正しい道」を歩んでいるとの見解を示した。

2024年9月1日、吉利控股集団は「台州宣言」を発表し、「戦略的集中、統合、協調、堅実な戦略、戦略的人材」の5つの取り組みを通じて競争力を全面的に強化する方針を打ち出した。また、2025年5月7日、吉利汽車が極氪(Zeekr)買収を機に、李氏は「自動車事業の統合を進め、一つの吉利に回帰する」と公言した。

重庆フォーラムでの講演で、李氏は現在の世界の自動車産業が深刻な生産能力過剰に直面していると指摘。吉利は新たな自動車生産工場の建設を行わず、繰り返しの投資を避け、既存のグローバルな過剰生産能力を最大限に活用し、実際的に協力や資源の最適化を進める方針を明らかにした。

「自動車産業は天から降ってくるものではなく、誇大広告で本物の産業を築くこともできない」と李氏は率直に語る。自動車企業の成長には独自の法則があり、基礎を固め、内功を磨き、優れた企業文化を継承・発揚する必要がある。小手先の策略や近道、抜け道は通用せず、一歩一歩着実に進むことで遠くへ到達できると強調した。技術には出所、革新には理論的裏付け、成果にはプロセスが必要であり、法的・公正・透明な発展が尊敬される自動車ブランドを築く前提だと訴えた。

吉利のこの決断と李氏のビジョンは、過剰生産と激化する競争の中で、中国自動車産業が持続可能な成長を目指す姿勢を映し出す。今後、吉利がどのように「正しい道」を歩み、グローバル市場で存在感を高めていくのか、注目が集まる。

(中国経済新聞)