2024年4月以降、北京市の交通システムにおいて、反腐敗運動が急速に進展し、複数の高官が次々と調査対象となっています。北京地下鉄や関連機関の幹部が関与するこの一連の事件は、中国の反腐敗キャンペーンの一環として、北京市の交通分野における不正行為の根絶を目指す動きを象徴しています。
2024年4月以降、北京市の交通システムでは複数の重要人物が「重大な規律違反および法律違反」の疑いで調査を受けています。以下はその主な事例です。
1,高朋:1970年代生まれの元副市長で、博士号を持つ高朋氏は、交通分野を担当し、北京地下鉄10号線の投資会社である北京京投軌道交通投資有限公司の董事長兼総経理を務めていました。2024年4月に中央紀律検査委員会および国家監察委員会による調査が発表され、北京市政府の最年少副市長として注目されていた同氏の落馬は大きな話題となりました。
2,王春杰:北京公共交通(集団)有限公司の元党委書記および董事長。王氏は公共交通分野の重要人物でしたが、2024年に規律違反の疑いで調査対象となりました。
3,容軍:北京市交通委員会の元党組成員および副主任。容氏もまた、2024年に調査対象となり、交通システムの反腐敗の波に巻き込まれました。
2025年に入り、反腐敗の矛先はさらに北京地下鉄の核心に及び、複数の高官が相次いで調査対象となりました。
1,謝正光:1963年生まれの謝正光氏は、2001年に北京地下鉄公司の総経理に就任し、後に北京市地下鉄運営有限公司の党委書記および董事長を務めました。2020年から2022年まで北京市交通委員会の党組書記および主任を歴任し、2023年からは北京市政協経済委員会主任に転じていましたが、2025年3月27日に「重大な規律違反および法律違反」の疑いで北京市紀律検査委員会および監察委員会による調査が発表されました。
2,劉建:2025年6月6日、北京市紀律検査委員会および監察委員会の公式サイトは、北京市地下鉄運営有限公司の元党委委員および副総経理である劉建氏が「重大な規律違反および法律違反」の疑いで調査を受けていると発表しました。劉氏は2018年1月から2019年12月まで、京城地下鉄有限公司の董事長および法人代表を務めていました。京城地下鉄は北京地下鉄運営有限公司が51%の株式を保有し、北京市人民政府が実質的な支配者となる企業です。
3、徐会傑:謝正光氏の後任として北京地下鉄の「トップ」および北京市交通委員会主任に就任した徐会傑氏は、2024年末に調査対象となったことが確認されました。徐氏は謝氏の後を継いで北京地下鉄運営有限公司の董事長も務めており、連続する高官の落馬は北京地下鉄の運営に大きな影響を与えています。
北京地下鉄運営有限公司は、北京市インフラ投資有限公司(京投公司)の完全子会社であり、京城地下鉄有限公司の株式51%を保有しています。股权の構造をたどると、これらの企業の最終的な実質支配者は北京市人民政府です。このような公的機関の重要性から、北京地下鉄の運営や投資に関わる高官の不正行為は、市民生活や都市インフラの信頼性に直結する問題として、厳しく取り締まられています。
北京地下鉄の高官の連続落馬は、組織内部のガバナンスと透明性の問題を浮き彫りにしました。特に、謝正光氏や徐会傑氏といった長年交通システムの要職を務めた人物の調査は、過去の運営や投資決定における不透明な取引の可能性を示唆しています。また、劉建氏のような元幹部の調査は、退任後も責任追及が及ぶことを示し、反腐敗の徹底ぶりを印象付けます。
(中国経済新聞)