上海の街中に数えきれないほどあり、地元経済の毛細血管とも言える商店。ほぼ無名の存在ながら、生活臭が漂うものである。今はどこも営業再開の日を待ち望んでいるが、焦りや問題を抱えている店も多い。
上海第一財経日報によると、2400万人以上の市民生活を支えているこれら商店の営業再開への道のりは険しい。少しでも早く店を開けようと努力してはいるが、実際には問題があまりに多すぎて、やむなく廃業する店もあるという。
2007年に紹興路92号で「ウォールデン湖」という名のブティックを開いた向芬芬さん。それなりに売れてはいたが、コロナの影響で経営が傾き始めた。今回、すでに2か月以上も店を開けていない中、賃貸料として毎月2万元が飛んでいく状態である。再び店を開けようにも、各種の手続きや店員の出勤というハードルがあるうえ、店内にはいまだに冬物の旧在庫しかなく、新品の仕入れが果たせず配送も大変な状態である。
また、最近オープンした高級デパートで理髪店の店長をしている銭凱文さんは、月々の収支を計算してみたところ、賃貸料が数十万元であり、労務費など他の費用を考えると、売上が60万元ないと元が取れないことが分かった。ところが2か月も閉店しているため、売上およそ100万元分が消えている。家賃はある程度値引いてくれてはいるが、銭さんからすれば重荷である。
「国有のデパートなどに店を出していれば家賃をかなり引いてもらえるが、大家が民間企業や外資系だったらそれは無理だね」と銭さんは言う。
ただし、実際に営業再開を阻んでいるのはお金ではなく、驚くほど面倒な手続きである。
上海市の規定によると、社員を自宅から出勤させるには、まず居住エリアにコロナ感染者がいないことが必須条件であり、これを満たせなければ出勤は不可である。
再び店を開く、それはいつでもできるものではなく、次のような6段階に及ぶ手順を踏まなくてはならない。
- 上海市商務委員会へ書類を届け出る
- 「コロナ対策万全の仕入れ先」といった書類を届け出る
- 営業再開申請書を届け出る
- 48時間以内のPCR陰性証明を取得する
- 店員が抗原検査を行い、その画像に保存する
- 所在地のエリアや町内で店員の食事や住まいを確保し、コロナが終息するまでは自宅エリアに戻らないとの誓約書を発行する。
大きな店であれば店内での寝泊りもできるが、小さな店なら寝る所もなく、こうした24時間駐在という形をとることはまず無理な話である。
こうした条件から、やむなく廃業する店もある。
(中国経済新聞)