2025年4月16日朝、中国浙江省紹興市の著名な繊維企業「金点子紡績科技有限公司」の董事長兼創業者である畢光鈞(ビ・コウキン)氏が、自ら命を絶ったことが明らかになった。現地の報道によると、畢氏は同日午前6時頃、紹興市内の「玉蘭花園」マンション28階から飛び降りたとされている。
畢光鈞氏は30年以上前に温州市から紹興市柯橋区に移り住み、当初は「光鈞紡績」という小さな店舗から事業を開始。その後、先進的な技術導入や生産体制の整備を進め、未加工の布地開発から染色加工、衣料品製造、販売に至るまでの繊維産業全体をカバーする企業グループを築き上げた。
同氏が創業した金点子紡績は、アジア最大規模の繊維市場として知られる柯橋においても業界を代表する存在であり、年間売上は数十億元(数百億円)に上るとされる。畢氏が出資・経営していた関連企業は21社に及び、国内外に販路を持つ有力企業群であった。
畢氏の突然の死に業界関係者には大きな衝撃が走っている。一部報道によれば、近年畢氏は投資詐欺に巻き込まれ、数億元規模の損失を被ったとみられ、それが原因でうつ病を発症していたという。
自殺の背景には、精神的な苦悩が長く続いていた可能性があり、畢氏が早朝という時間帯を選んだことからも、前夜に深い葛藤があったことが推測される。
畢光鈞氏の死は、繊維の都と称される柯橋にとって、そして中国繊維産業全体にとっても大きな損失である。
(中国経済新聞)