中国の大手電池メーカー、寧徳時代(CATL)は、米国による追加関税の影響について、業績への打撃は限定的であるとの見解を示した。2025年4月14日に開催された2025年第1四半期業績説明会において、同社の経営陣は「米国市場の出荷量は全体の中で小さく、すでに環境変化を見据えて事前に対応策を講じてきた」と述べた。
2022年8月に米国で施行された「インフレ抑制法(IRA)」では、条件を満たした電気自動車(EV)に最大7500ドルの税額控除が認められていた。しかし、2023年12月に発表された「外国の懸念企業に関するガイダンス」により、中国の電池メーカーはこの優遇措置の対象から除外された。2024年1月以降、中国製動力電池の米国向け直接輸出は明らかに減少している。
寧徳時代はテスラをはじめとする米国企業に蓄電池を供給しているが、米国市場に直接使用されている電池の具体的な数量は公表されていない。同社は現在、米国の顧客と協議を進めており、対応策を模索しているという。
その一方で、同社は海外戦略の重心を欧州市場に移している。ドイツ工場はすでに稼働しており、ハンガリー工場は2025年に第一期の操業を開始する予定だ。さらに、スペインでの新工場建設も2024年12月に契約が締結され、計画が進行中である。
寧徳時代によると、欧州における同社の動力電池市場シェアは2021年の17%から2024年には38%にまで拡大し、現在も成長が続いている。ドイツ工場はすでに黒字化を果たしており、欧州事業の収益性も高まっている。
同社はまた、香港証券取引所での上場を準備しており、調達資金は主に海外市場の開拓に充てられる見込みである。
2025年第1四半期、寧徳時代の売上高は847億元(前年比6.18%増)、株主に帰属する純利益は139.6億元(前年比32.85%増)となり、堅調な業績を維持している。
(中国経済新聞)