北京大学北京国際数学研究センター(BICMR)が先ごろ発表した2024年の主な活動に関する文章によると、同大の卒業生である科学者の胡懿娟(Hu Yijuan)教授が2024年7月に新規配属されたという。
胡教授は、北京大学数学科学学院を卒業し、アメリカのノースカロライナ大学チャペルヒル校で博士課程を修了、帰国前までEmory大学の教授を務めていた。2024年7月にBICMRに配属され、統計学、微生物、遺伝学の研究をして現実のバイオメディカルデータ分析における問題の解明に取り組んでいる。
胡教授によると、アメリカで博士課程を履修していたころは大勢の人によりヒトゲノムの研究が急速に進められ、多くの統計学者が遺伝統計の研究に当たっていた。この分野で10年余りにわたり力を尽くし、十分な成果も挙げた胡教授は、ヒトゲノムに頼るだけでは人類の特徴や疾病の原因を完全に説明しきれないことが分かったという。のちに人体のマイクロバイオームを「第二の遺伝子」と見なす動きが広まり、疾病や健康の研究へ新たな道が開けた。統計学者である胡教授は、マイクロバイオームのデータはヒトゲノムのデータより複雑で、適当な統計方法がないことに気づいた。またマイクロバイオームは変動性があり、直接疾病予防に使える。こうした特性で、マイクロバイオーム学に対する興味が強まり、研究に没頭することになったのである。
胡教授は、「BICMRは最高の舞台で、数学については中国全土のリーダー的な存在だ。ここで多くの有名数学者と一緒に過ごせてとても光栄だ。管理体制もオープンで自由であり、縛りがほとんどなく、やる気が湧いてくる」と言う。BICMRは研究活動がとてもよく進む上に、極めて優秀な若手の育成ができることに喜びを感じている。「何より大きいのは北京大学が母校ということで、すばらしい大学だと思っている。BICMRは執務環境が独特で、ここにいるといつも昔ながらの良さにうっとりして、離れ難くなる」とのことである。
胡教授はまた、研究仲間に対する学術面のアドバイスとして、「数学科の学生はえてして『研究は学者が一人で知恵を絞るもので、極めて抽象的だ』と考えているが、この分野は多様化が進んでいて、適用分野の多くは他の学科(医学など)と兼ね合わせる必要があり、それゆえに興味が湧き、密着した要素(医学の知識や協力など)も生まれる」と述べた。また一方、人づきあいやプログラミング、読み書き、表現力など、数学以外のスキルも求められるという。 「バイオ統計学に携わる若い学者は、講師の教えに沿って協力をした方がいい。よく聞き、よく考え、よく質問をすることで、指導者の役割を演じてみてほしい。勉強や成長につながるはず」と述べている。
(中国経済新聞)