インドネシアのトランスヌサ航空(TransNusa、8B)は10月29日午前、中国製のリージョナルジェット機「ARJ21」を、8B167便としてマナドのサム・ラトゥランギ国際空港から広州の白雲国際空港へ向けて出発させ、無事就航を果たした。ARJ21の最長の商業路線となるものである。8Bは海外の航空会社として初めてARJ21を運航させており、中国製の機体の国際化に貢献している。
8B は2022年12月にARJ21を納入し、インドネシアの国内線や国際線で運航数を徐々に増やしている。今年6月、マレーシアのクアラルンプールを結ぶ便で初めて起用し、複数の国際線や離島を結ぶ便で3機を利用している。8Bの中国側代表で、航空機リースの中国飛機租賃集団(CALC)の劉晚亭総裁は、「ARJ21の国際線利用を拡大していく予定」と述べている。
CALCは、8BにおけるARJ21の活用を陰で支える存在である。2021年初めに中国国営企業の中国商用飛機(COMAC)と、ARJ21を計60機注文する契約を結び、うち30機は確定済みで、この機体の海外での普及を目指してきた。さらにCALCは 2800万ドル(約42.8億円)で8Bの株式35.68%を取得し、この投資を通じてARJ21が海外で就航経験を積み重ねるように願っている。
ARJ21は、東南アジアでも利用が広まって好評を得ている。今年4月にはベトナムのベトジェットエア(VietJet Air)が、COMACからリースでARJ21を導入することで合意した。また中国政府が10月12日に発表したラオスとの共同声明でも、ラオスの航空企業による中国の商用機の導入を支援すると表明しており、ARJ21もラオスで優先的に導入される機体となる見込みである。このほか、ブルネイのギャロップエア(GallopAir)が2023年に、COMACからARJ2115機を含めて計20億ドル(約3059億円)にのぼる注文をする方向で合意に達している。
ARJ21は東南アジアで局面を打開したほか、中国国内の航空会社も国際線での利用を進めている。最初に同機の利用を始めた成都航空は、ハルビンとロシアのウラジオストクを結ぶ便、新疆ウイグル自治区のカシュガルとタジキスタン共和国のホジェンドを結ぶ路線で利用している。また中国南方航空は、国際市場のさらなる開拓への基礎固めとして、2024年10月27日から始まる新しいダイヤでブルネイ便にARJ21を利用すると発表している。
(中国経済新聞)