中国不動産販売、1-5月は前年比20%減

2024/07/1 13:30

 2024年に入って、中国政府は次々と総合的な不動産支援策を発表した。地方政府が一部のマンションを買い取ることを認めるほか、住宅ローン規制を緩和する。未完成住宅の建設を進める方針も示した。
 5月17日、何立峰副首相は住宅政策に関するオンライン会議で、手頃な価格の住宅を提供するため、地方政府当局が「妥当な」価格で一部の住宅を購入することを認めると述べた。何副首相は、地方政府がデベロッパーに売却した土地を買い戻すことも可能だと発言。未完成住宅の建設を進めるため「必死で戦う」と表明し、販売済みにもかかわらず引き渡しが困難な建設途中の住宅プロジェクトを分類し、その処理を進めるようも求めた。

20省が不動産ローンの金利の下限を廃止

 同日、中国人民銀行(中央銀行)も3つの声明を出し、低迷する不動産需要を喚起するため、住宅ローン金利と頭金比率を引き下げると発表。1兆元(約21・7兆円)規模の貸付制度も確保する。
関連の政策を発表して以降、不動産をめぐる新たな政策を実施する都市が少しずつ増えている。現時点で、20省が不動産ローンの金利の下限を廃止するほか、頭金の割合の下限を引き下げることを発表した。
 一線都市の政策の動向は特に注目を集めている。今回は上海市が先頭を切って新たな政策を実施した。上海市は5月27日、1軒目の住宅をローンで購入する場合の頭金を20%、2軒目を35%に引き下げた。同市の臨港新片区や嘉定区など6区は、2軒目の購入となる住宅の頭金の割合の下限を30%に引き下げ、1軒目の住宅をローンで購入する場合の金利を3・5%、2軒目の場合3・9%に引き下げた。臨港新片区や嘉定区など6区は2軒の住宅をローンで購入する場合の金利を3・7%に引き下げた。
 同様に、広東省深セン市も頭金の割合を1軒目の購入の場合20%、2軒目の場合30%に引き下げた。住宅ローンの金利も、5月29日から、1軒目の購入の場合3・5%に、2軒目の場合3・9%に引き下げた。このように住宅ローンの負担が目に見えて低減している。
 広東省広州市も住宅を購入する場合の頭金の割合を1軒目の場合15%、2軒目の場合25%に引き下げ、一線都市の中では唯一、不動産ローンの金利の下限を廃止した。広州市の主な銀行は5月28日、不動産ローンの金利をめぐってコンセンサスを築き、1軒目の購入の場合3・4%、2軒目の場合3・8%に引き下げられた。

1~5月の新規着工は24・2%減

 また、中国全土の一線都市を見ると、不動産をローンで購入する場合の金利を4・05%に据え置きしている北京市内の6区を除いて、他の地域や都市は全て3%代に引き下げられている。中指研究院の統計によると、ローンで住宅を購入する場合の金利を1軒目の場合約3・1%に引き下げている都市の銀行も一部あり、過去最低水準となっている。
 また二線都市を見ると、頭金や金利の水準を、中央銀行が打ち出した政策の最低ラインまで引き下げるというのが、標準スタイルとなっている。具体的に見ると、ローンで住宅を購入する場合の頭金の割合が、1軒目の場合15%以上、2軒目の場合25%以上に引き下げられ、個人の商業性不動産の場合、1軒目も2軒目も、ローンの金利の下限が廃止されている。
 しかし、政府による不動産セクター支援などの効果がなお現れていない。
 中国国家統計局が6月17日発表した1~5月の不動産投資は前年同期比10・1%減と、1~4月の9・8%から減少ペースが加速した。
 1~5月の不動産販売(床面積ベース)は前年比20・3%減となり、1~4月の20・2%減から小幅に落ち込んだ。1~5月の新規着工(床面積ベース)は前年比24・2%減。1~4月は24・6%減だった。中国の不動産デベロッパーが1~5月に調達した資金は24・3%減少。1─4月は24・9%減だった。

(中国経済新聞)