中国スマホのvivo、インド法人の売却を迫られる

2024/06/20 07:30

中国スマホ大手「Vivo」(ビボ)は、インド3大財閥の一つである「タタ・グループ」(Tata)に対し、インド現地法人の多額の株式を売却する方向で交渉をしている。現地化を求めるインド政府の要請に応じるもので、消息筋によると交渉は大詰めに差し掛かり、Vivoが買収額の引き上げを求めているという。

インド政府は2023年6月に、中国のスマホメーカーに対し、製造時に現地の部品の利用割合を増やすことを狙いとして、現地企業と提携の上、経営幹部はインド籍とするよう求めた。メディアによると、インド政府はタタ・グループに対し、Vivoインド法人の株式取得率を51%以上とし、買収後の合弁会社は現地の会社が主導し、販売網も現地化するように求めているという。

Vivoは2014年にインドに進出し、事業を急拡大して2021年には年産規模が6000万台となった。しかしインド政府は2022年、資金洗浄や脱税の疑いでVivoへの調査を始め。インド執行局(ED)は「資金洗浄の調査」として、経営の暫定トップや財務部門のトップなど複数の幹部を逮捕し、「Vivoは脱税目的でペーパーカンパニーを通じて国外に資産を移転している」と指摘した。これに対しVivoは、「大変ショックだ」とした上で、「インド当局の行動は業界全体を揺るがすもので、法的手段を通じて断固として対応する」と表明している。

タタ・グループは、子会社のタタエレクトロニクス(Tata Electronics)を通じて電子機器の製造に乗り出し、2023年10月に台湾の電子機器受託生産(EMS)大手である「緯創 (ウィストロン=Wistron)」のインドのiPhone組み立て工場を買収し、今はチェンナイにある台湾のEMS(電子機器の受託製造サービス)大手「和碩聯合科技(ペガトロン)」のiPhone組み立て工場買収の件で交渉している。またタタエレクトロニクスは、タミル・ナードゥ(Tamil Nadu)のホスール(Hosur)でiPhoneの組み立て工場を建設中であり、生産ライン20本を設け、今後2年以内に5万人を採用する見通しである。

同じ中国スマホメーカーであるOPPOやシャオミも以前にもインド政府に介入され、Vivoと同じように調査や制裁金を受けている。シャオミは2022年、ライセンスフィーの問題で65.3億ルピー(約123億円)の制裁金を命じられた上、違法な振り込みをしたとして555.1億ルピー(約1047億円)を差し押さえられた。これらは2023年10月になってようやく解除され、インドでの事業継続が可能になった。しかしシャオミは、この件で市場シェアを落とした。市場リサーチ会社のCanalysが発表したインド市場のデータによると、現地で販売台数が四半期ベースで20期連続トップを誇っていたシャオミは2023年Q3に2位に後退し、年間成長率は17%減となっている。

(中国経済新聞)