2024年5月28日、中国人の実業家・賈躍亭(Jia Yueting)氏が設立したアメリカの電気自動車(EV)スタートアップ企業「ファラデーフューチャー」(Faraday Future Intelligent Electric=FFIE)が、遅れていた2023年の決算報告をようやく発表した。年間の売上高は78.4万ドル(約1.23億円)で、販売費用は4260.7万ドル(約66.8億円)、赤字額は4.32億ドル(約678億円)に減った。また、現在の市場の状態や手持ちの資金を考え、2024年の生産目標は撤回すると表明している。
決算報告を見ると、初めての車となる「FF 91 Futurist」を2023年3月に生産開始し、同年8月に納入を始めた。しかし12月31日の時点で、FF 91 Futuristは販売4台、リースが6台という状態である。
また報告でFFIEは、「予見できない費用が発生するか、FF 91シリーズの納入が難しく延期する恐れがあるので、経営を維持できるだけの収入がこの先ずっと手に入らない見込み」と表明している。数字を見ると、2023年12月31日の時点の現金残高は400万ドル(約6.28億円)で、うち200万ドル(約3.14億円)が制限付きとなっている。
FFIEはまた、「現在の市場の状態や手持ちの資金を考え、2024年の生産目標は撤回する」と表明している。FFIEは去年11月に、2024年はおよそ1000台が生産可能という前向きな予測を立てていた。
賈氏は5月29日、SNSで、同社が打ち出している「米中自動車産業ブリッジ戦略」の第一ステップとなる詳細計画をおよそ1か月後に発表すると表明した。この戦略は、FF独自の価値を生かして、アメリカの自動車界の強みと中国の自動車会社やサプライチェーンの強みを統合し、米中両国の自動車産業、自社のパートナー、OEM、サプライチェーン、そして自社にオリジナルの価値をもたらすものとしている。
賈氏は、「良質で安上がりな中国のサプライチェーンを招き入れ、アメリカの一般市民に良質かつ安価な製品を届けたい。また、バリューチェーンに力を入れることで、値段が30万ドル(約500万円)あまりのFF91に搭載された基幹技術を大衆車に導入することで、アメリカの一般市民も『最高のテクノロジー』を味わえるようにする。中国の自動車メーカーや製品の海外進出を進めるほか、アメリカでAI EV産業の普及や拡大を加速させる」と話している。
(中国経済新聞)