永輝超市、3年間で赤字1729億円 胖東来に支援を請う

2024/05/17 07:30

中国の中堅小売企業「胖東来」が、中国最大級のスーパーマーケットチェーン「永輝超市」に対し、社員の給与や売場計画、商品構成、サプライチェーン共有、値段やサービスの改善など細かい分野に及ぶ「業務改善サポート」を始めると伝えられている。

永輝超市は、以前に京東やテンセントなど大手の出資を受け、2019年には店舗数を1440店に伸ばした。創業者の張軒松氏はこの年のフォーブス中国長者番付400人の中で173位であった。また、中国チェーン経営協会による「2022年中国スーパーマーケットTOP100」で、永輝超市は売上高980億元(2.12兆円)で2位であった。

ところが、ここ3年間で赤字額が計80億元(約1729億円)を超え、店舗数も400店以上減ってしまった。張氏的の資産額も急減し、2024年の胡潤世界長者ランキングでは72億元(約1556億円)で、前年より順位を737位も落とした。

スーパーマーケットは各社とも厳しい状態にある。「華潤万家」は3年間で131店を閉め、「歩歩高」は 2021年から赤字続きで2022年に四川省や江西省から撤退し、海外の大手「ウォルマート」や「カルフール」も閉店情報が相次いでいる。

その一方で、「胖東来」はきめ細かいサービスや良心的な価格、社員への厚い待遇などが評価され、SNSでしばしばトレンド入りしているほか、現場の店舗もにぎわっており、名実ともに「花形スーパー」となっている。

中国チェーン経営協会によると、スーパーマーケットは長引く客足の減少、商品の差別化の遅れ、店舗運営費の増大という3つの課題を抱えているという。

こうした経営問題に際し、各社ともデジタル化の導入やオンラインでの取り組み強化、さらには赤字店舗の廃止など、それぞれ対策を施している。また「胖東来」を見本にする動きも出ており、2024年3月には、湖南省長沙市にある歩歩高の「梅溪湖店」などが経営改善を目指し、売場のレイアウトや商品構成、品質や値段、環境、サービスなどの全面見直しを進めるべく「胖東来」を呼び寄せた。

この結果、それまで1日平均の売上高は15万元(約324万円)、来客数は2000人であったが、売上高は2日続けて142万元(約3069万円)を超え、5月1日には240万元(約5187万円)に達したという。

ただし、地域での小売スーパーを足場としている「胖東来」のモデルが全国チェーンのスーパーで通用するかは、今のところ不透明である。

(中国経済新聞)