360グループの創業者周鴻禕は、マーケティング部門を廃止すると発表

2025/06/8 11:40

360グループの創業者であり会長の周鴻禕氏は、6月6日夜、自身のソーシャルメディアアカウントで驚くべき声明を発表しました。「私は360のマーケティング部門全体を廃止するつもりです。これで年間数千万元のコストを削減できます」と彼は述べ、大きな話題を呼びました。この大胆な決断の背景には、AI技術を活用して個人の生産性を飛躍的に向上させる「スーパー個人」の概念を検証する挑戦があります。

周氏は、6月11日に予定されている新しいAI検索インテリジェントエージェントの発表会を、たった一人で実施するという前代未聞の挑戦を表明しました。従来、製品発表会はマーケティング部門の数十人が約半月をかけて準備し、多大な時間、労力、費用を投じてきました。しかし、周氏はこれに満足していませんでした。「今回は私が全てを担当します」と彼は宣言し、AI技術の力を借りてこの挑戦を成功させる決意を示しました。

この挑戦の核心は、AIが個人の能力をどれだけ拡張できるかを検証することです。周氏は、「スーパー個人」とは、単に個人が賢くなることではなく、複数のインテリジェントエージェントを指揮して業務を効率化し、従来の従業員の役割を代替できる状態を指すと説明します。「もしこの挑戦が成功すれば、AIインテリジェントエージェントが革新的な進化を遂げ、従来の効率モデルが時代遅れになることを証明できます。360のマーケティング部門は他の部署に移るか、AIエージェントの開発に専念するようになるでしょう」と彼は語ります。

周氏のこの挑戦は、単なる思いつきではありません。6月11日の新製品発表まで残り5日という短い準備期間の中で、彼はAI技術がどのように業務プロセスを変革するかを具体的に示そうとしています。AIエージェントがマーケティング業務を効率化し、従来の人的リソースに依存するモデルを根本から見直す可能性があるのです。この試みが成功すれば、企業運営におけるコスト削減と効率向上の新たなパラダイムが生まれるかもしれません。

周氏は近年、ネット有名人(インフルエンサー)としての活動にも注力しています。昨年から彼は「ネット有名人経済」について頻繁に語り、自身もその一翼を担いたいと公言してきました。その理由として、彼はイーロン・マスク、余承東、雷軍といった著名な起業家を挙げ、彼らが講演や情報発信を通じて企業に数十億元規模の広告費削減をもたらしている点を指摘します。「私もファンとの交流やショートビデオ、ライブ配信を通じて、何百万、何千万ものユーザーに360の戦略、技術、製品を知ってもらいたい。ゆくゆくは360のために10億元以上の広告費を節約したい」と周氏は意気込みを語ります。

周鴻祎氏の今回の挑戦は、AI技術の可能性を最大限に引き出し、個人の能力を飛躍的に高める「スーパー個人」の時代を切り開く試みです。マーケティング部門の廃止という大胆な決断は、AIがもたらす業務革命の第一歩となるかもしれません。6月11日の新製品発表会が成功すれば、360グループだけでなく、他の企業にとってもAI活用の新たなモデルケースとなるでしょう。周氏の動向に、今後も注目が集まります。

(中国経済新聞)