中国で、元慰安婦18人の遺族が、日本政府を相手取り謝罪や賠償などを求めて起訴した。民間による日本への提訴は32年ぶりであるが、今回は初めて中国の裁判所での訴訟となった。これら18人は山西省高級人民裁判所に訴状を提出しており、中国の慰安婦被害女性団体が地方の裁判所で日本政府を提訴するのは初めてである。
中国では慰安婦問題について、1992年に被害女性が日本政府に対し、公開謝罪と一定の損害賠償を求め提訴している。この件は1995年8月7日に日本の地方裁判所で審議され、その後も日本の弁護士の支援を受けて2007年までの12年間で数10回も開廷した。最終的に、歴史的事実は認めたが公開謝罪はせず、損害賠償は却下するとの判決が下された。
その後2021年に、中国の慰安婦訴訟にかかわるグループに一筋の明かりとなる情報が流れた。その1人が、慰安婦の民間調査で先頭に立つ張双兵さんである。韓国のソウル中央地方裁判所で同年1月8日、韓国人の慰安婦が日本政府に損害賠償を求めた訴訟について、日本政府に対し、慰安婦1人につき1億ウォン(約59万元)の支払いを命じる判決が下された。判決文では、「慰安婦に対する日本の対応は『反人道的犯罪行為』であり、『国の主権免除』との原則には相当しない。つまり、国の行為や財産は他国の立法、司法、行政の管轄を受けない (または免除)」とした。
慰安婦問題の調査が始まった1982年からリーダー役を務めていた張さんは、「10年以上にわたった日本での裁判で成果がゼロだった中で韓国での判決を聞き、中国の裁判所で起訴することで慰安婦たちに報いることができるということを感じ始めた」と語った。そこで、専門家や弁護士で結成された10人以上のメンバーにより、改めて日本政府を相手に訴えを起こしたのである。
今回の訴訟に関わる18人の元慰安婦は、劉面換さん、張先兔さん、王改何さん、楊喜荷さん、侯巧良さん、万愛花さん、陳林桃さん、侯冬桃さん、高銀娥さん、楊時珍さん、周喜香さん、尹玉林さん、南二朴さん、趙存妮さん、張改香さん、郭喜翠さん、李秀梅さんで、いずれも死去している。
(中国経済新聞)