「全人代」特別報道 政府活動報告全文② 2024 年の経済・社会発展の全般的要請と政策の方向性

2024/04/8 18:30

今年は中華人民共和国成立75周年であり、第14次5ヵ年計画の目標と任務を達成する上で肝心な一年である。政府活動を完遂すべく、習近平同志を中核とする党中央の力強い指導の下、習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」思想を導きとし、第20回党大会と第20期中央委員会第2回全体会議の精神を全面的に貫徹実践し、中央経済工作会議の決定に基づき、「安定を保ちつつ前進を求める」という活動全体の基調を堅持し、新たな発展理念を完全正確全面的に浸透させ、新たな発展の形の構築を加速し、質の高い発展の推進に力を入れ、改革開放を全面的に深化させ、ハイレベルの科学技術の自立自強を推進し、マクロコントロールを強化するとともに、内需の拡大と供給側構造改革の深化、新型都市化と農村の全面的振興、質の高い発展と高い水準の安全保障を一元的に進め、経済活力の増進、リスクの防止解消、期待の押し上げを着実に進め、経済の持ち直しの動きを持続させて強化し、経済の質の効果的向上と量の適正な拡大の実現を持続的に推し進め、公共の福祉を増進し、社会の安定を維持し、中国式現代化により強国づくりと民族復興という偉業を全面的に推し進めなければならない。

総合的に分析・判断すると、今年わが国を取り巻く環境は、依然として戦略的チャンスとリスク・課題が併存し、有利な条件が不利な要素にまさっている。中国には顕著な制度面での優位性、超大規模市場の需要面の優位性、産業体系の完備という供給面の優位性、高い資質の労働者が数多くいるという人材面の優位性を有しており、科学技術イノベーション能力が持続的に向上し、新産業・新モデル・新たな原動力が急成長し、発展の内生的原動力が絶えず現れ、経済が上向き、長期的に堅調に推移するという基調に変化はなく、また変化することもないため、自信を強く持たなければならない。一方で、最悪の事態を想定する思考を堅持し、万全な準備を整えてさまざまなリスク・課題に立ち向かわなければならない。党中央の決定をしっかりと実行し、好機をとらえて有利な条件を生かし、各方面の創造的に取り組む積極性を十分に引き出しさえすれば、困難や試練を乗り越え、経済の持続的かつ安定した成長を促進することができる。

今年の主な所期目標は次のとおりである。◇GDPの伸び率は5%程度とする。◇都市部の新規就業者数は1200万人以上、都市部調査失業率は5.5%程度とする。◇消費者物価の上昇幅は3%程度とする。◇住民所得の伸び率を経済成長率と同ペースに保つ。◇国際収支の基本的均衡を維持する。◇食糧生産量は6億5000万トン以上とする。◇GDP 1単位当たりのエネルギー消費量を2.5%程度減尐させて、生態環境を持続的に改善する。目標設定にあたり、国内外の情勢とさまざまな要因を総合的に考慮し、必要性と可能性についても考慮した。GDPの伸び率を5%程度としたのは、雇用と収入増の促進、リスクの防止・解消などの必要性を考慮し、第14次5ヵ年計画と現代化の基本的実現の目標との整合性をはかり、また経済成長の潜在力とそれを支える諸要素についても考慮し、鋭意進取、発奮努力の姿勢を反映したものである。今年の所期目標を達成するのは容易なことではないため、的確な政策を講じ、各方面が心を一つにして倍に努力する必要がある。

われわれは安定を保ちつつ前進を求め、前進を以て安定を促し、「確立が先・廃止は後」という方針を堅持しなければならない。安定は大局であり基盤である。各地区と各部門は期待・成長・雇用の安定につながる政策を多くうち出し、緊縮的・抑制的な措置の策定には慎重を極め、質の高い発展にもとる政策・規定を整理・廃止しなければならない。前進は方向であり原動力である。確立すべきものは積極的に確立し、確立した上で、廃止すべきものを断固廃止し、とくにパターン転換、構造調整、質の向上、効果増進において意欲的に進取しなければならない。マクロ政策のカウンターシクリカル調節とクロスシクリカル調節を強め、引き続き積極的な財政政策と穏健な金融政策を実施し、政策ツールの創出と協調を強化する。

積極的な財政政策は適度に強化し、その質効果を高める。発展の必要性と財政の持続可能性を総合的に考慮し、財政政策を最大限に生かし、ポリシーミックスを最適化させる。財政赤字の対 GDP 比は3%とし、財政赤字は前年度の本予算に比べ1800億元増の4兆600億元とする。今年の財政収入は引き続き伸びると見込まれ、さらに繰入金など勘案して、一般公共予算の歳出は前年比1兆1000億元増の28兆5000億元とする。地方政府特別債は前年度比1000億元増の3兆9000億元とする。強国づくりと民族復興にかかわる一部重要プロジェクトの資金不足を系統的に解決するために、今年から数年連続して超長期特別国債を発行し、国家重要戦略の実施と重点分野の安全保障能力整備に充てるものとし、今年はまず1兆元発行する。今年は数多くの分野で財政需要が膨らむが、支出構造の改善に力を入れて、国家重要戦略的任務と社会保障費への保障を強化し、行政運営費を厳しく抑えなければならない。地方財政力均衡化のための財政移転を拡充して財政力の弱い地方政府に適度に傾斜させ、省級政府は末端への財政移転を推進し、その下級政府の「三つの保障」の最低ラインをしっかりと守らなければならない。構造的な減税・料金引き下げ政策を確実に実施し、科学技術イノベーションと製造業の発展を重点的に支援する。財政規律を厳格にし、会計監査を強化し、箱モノ行政を厳しく禁じ、贅沢浪費を断固食い止める。各級政府は支出切り詰めを堅持し、綿密に予算を編成し、財政資金を最も肝心な分野に使い、成果が出せるようにしなければならない。

穏健な金融政策は柔軟で適度にして的確で有効なものにする。合理的に潤沢な流動性を供給し、社会融資規模(企業や個人の資金調達総額)と広義マネーサプライ(M2)を経済成長と物価の所期目標と一致させる。量的・構造的調節を強化し、遊休資金を活用して効果を高め、重要戦略、重点分野、後進分野への支援を強化する。総合資金調達コストの安定的な低下を促す。金融政策の波及メカニズムを円滑化し、資金循環の滞留を避ける。資本市場の自律性を強化する。人民元相場の均衡為替レートに沿った安定的な推移を保つ。科学技術金融、グリーン金融、包摂金融、養老金融、デジタル金融を大いに発展させる。信用保証、リスク分担、情報共有などの関連措置を拡充し、中小・零細企業の資金需要をよりよく満たす。

マクロ政策の整合性をはかる。発展の大局を中心に据え、財政・金融・雇用・産業・区域・科学技術・環境保全などの政策の協調をはかり、経済に関わりのない政策もマクロ政策整合性評価の対象とし、政策の統合性を強化し、方向性を合わせてシナジーを生み出す。各地区と各部門は政策形成にあたり、関係各所の意見に真摯に耳を傾けてそれを受け入れ、企業関連の政策形成においては市場との対話を重視し、企業の関心事に応えなければならない。政策実施にあたり、政策協調・政策連動を強化して相乗効果を高め、政策の矛盾を防がなければならない。政策の事前研究・準備にあたり、先見性を強めてツールキットの多様化をはかると同時に、事前予測に幅をもたせて、必要となれば速やかに推し出し、効果的にその役割を果たせるようにしなければならない。政策実施状況の追跡・評価を強化し、企業と大衆の満足度を重要な尺度とし、適時に調整・改善を行う。政策広報・解説には正しく取り組み、安定性かつ透明性のある予見可能な政策環境をつくる。

今年の成長目標・任務を達成するために、習近平経済思想を深く貫徹し、質の高い発展の推進に全力を上げなければならない。系統的なものの見方を強化し、重要関係をしっかりと把握・処理し、全体を俯瞰し諸般の事業を計画して推進する。「質・効率重視」を堅持し、基盤固めを継続し、マクロコントロールの的確性・有効性を高め、企業と大衆の期待から取組の着眼点、政策の注力点を見出すことに重きを置いて、今年の成長目標を達成するよう努める。質の高い発展と高い水準の安全保障との相互促進を堅持し、安全保障の最低ラインを守り切り、その上でより多くの方法で発展に取り組み、企業をサポートする。発展を求めつつ民生を保障・改善することを堅持し、発展の視点で民生問題の解決を捉え、人民大衆の切実な問題を解決する中で成長エンジンを生み出す。根本から言えば、質の高い発展の推進は改革に頼らなければならない。われわれはより大きな決意を固めていっそう改革開放を強化し、効果的な市場と機能的な政府のよりよい連携を促し、社会の活力を不断に引き出して、高めていき、質の高い発展においてより大きな成果が上げられるようにしなければならない。

(中国経済新聞)