中国自動車メーカーの広汽埃安(AION)は、広汽菲克の工場に続いて広汽三菱の工場も譲り受けることになった。
広州汽車グループはこのほどの取締役会で、旧広汽三菱である湖南智享汽車管理の株式全額を広汽埃安に譲渡することに同意する決議を下した。譲渡額は、資産評価報告の結果をベースに1.91億元(約40.1億円)と定められた。
広汽三菱は今年3月に社名を湖南智享汽車管理に変更し、三菱自動車工業と三菱商事が株主から撤退して、新たに新エネ車の販売や駐車場サービスを始めた。また今回湖南智享は、株の譲渡に加えて18.58億元(約389.8億円)を獲得することが決まっている。これら2件の金額は計20.49億元(約429.9億円)となり、すべて広汽埃安が自社で賄うという。
広汽グループはこのような策を講じた理由について、広汽三菱の主な資産を最大限に活用することで資金問題を抱える広汽埃安の工場建設期間や投資費用を縮小するほか、広汽三菱の解散や清算を避け、消費者の権益を確保し従業員の再雇用を支援するためと表明している。
広汽グループは2023年10月に、広汽三菱と広汽三菱販売への出資率の変更など再編策を発表している。株主である3社が広汽三菱および広汽三菱販売に対し、債務を返済するために増資をするとのことで、広汽グループの投資額は15.77億元(約330.9億円)を下回らないとしている。
広汽三菱汽車に対しては、三菱自動車工業が30%分を、三菱商事が20%分を出資していたが、これらを広汽グループがともに1元(約21円)で譲り受ける形で、広汽三菱を広汽グループの全額出資子会社とする。また株主3社は、通常の経営資金を確保するため、譲渡完了後に広汽三菱販売に4.5億元(約94.4億円)を追加出資する。このうち広汽グループの負担分は2.25億元(約47.2億円)である。
広汽埃安は広汽三菱の工場を手に入れた後、今年6月に本格生産を始め、年産台数を60万台とする予定である。公開情報によると、広汽埃安は2023年の販売台数が前年比77%増の48万台であり、今年は80万台を目標に掲げている。
(中国経済新聞)