「脱炭素化」を進めている中国で、排出削減や炭素削減、エコの拡大に向けて水素など新たなエネルギー産業に注目が集まっている。この中で「特に環境に優しいエネルギー」とされる水素は、埋蔵量も多い上に容易に手に入り、クリーンであることから、産業的に重要な地位に立つ。
今年の全人代の政府活動報告で、水素産業の成長を加速する方針が示されており、エネルギーとしての水素の普及や質の高い成長を重視する姿勢が表れている。近々、1兆元(約20兆円)とみられるこの産業にさらなる技術資本や産業資本が参入するものとみられる。
中国は、燃料電池スタックやその主要材料、パワーシステム、車両アセンブリ、インフラなどのコア技術を備え、水素エネルギーの産業チェーンをほぼ整えている。年間の水素の需要量は2030年には3715万トン、末端エネルギー消費分に占める割合は5%になると見込まれる。
中国は水素産業を成長させるため、様々な取り組みを講じており、ひとまず成果が出ている。江蘇省無錫などで、水電解による水素製造の開発や応用について十分なメリットや成果をもたらしている。可再生エネルギーを使った電解によるエコな水素の製造法として、エネルギーの転換や環境保護といった点で重要な意味を持つ。
水電解法は水素の産業チェーンにおける主要な部分であり、この技術が進歩すれば産業チェーン全体が発展する。無錫にある「双良氢能源科技」は、先進国のレベルに匹敵する高性能のアルカリ水電解槽を開発している。
ただしこの水電解法は、現在の技術ではコストが高くつくので、コストダウンを続けるにはさらなる投資が必要となる。専門家によると、エコな水素製造を手掛ける新たな会社を育てるため、アメリカやEU、日本など先進国の取り組みを参考にして企業の成長を求めるように提案している。水素産業は初期の段階では各社とも巨額の投資を必要とし、研究開発に費用がかかる上に人材も不十分などといった問題を抱えることから、しっかりした資金援助体制を打ち立て、企業の技術革新を促し、研究開発に力を入れ、技術を進展させて原料の歩留まりを引き上げ、さらには多くの人材を呼び込んで安定した人手を確保する必要がある。
(中国経済新聞)