11月8日、第14回全国人民代表大会常務委員会第12回会議で、「中華人民共和国エネルギー法」(以下「エネルギー法」)が採択された。2025年1月1日より施行され、注目を集めた中でエネルギー分野における法体系の整備へ大きな一歩を踏み出すことになる。
「エネルギー法」は、エネルギー計画、開発利用、市場体系、緊急用の備蓄、技術革新など9つの章にまたがるもので、中国のエネルギー成長を法律面から全面的に保障するものである。中国は世界最大のエネルギーの生産国かつ消費国でありながら、これまでエネルギーに関して土台となり統括的な役割を果たす法律を欠いていたが、こうした問題に対応する形になる。さらにこの中で、水素がエネルギー管理の対象に加えられている。
中国標準化研究院と中国水素標準化技術委員会が共同で作成した「中国水素産業インフラ発展白書(2016)」によると、中国は2030年に水素利用の燃料電池車の保有台数が自動車の全生産量の約5%となる200万台に達し、世界最大の燃料電池車市場となり、生産額も1兆元(約21.4兆円)の大台に乗ることが期待される。
水素エネルギー業界に詳しい李参成氏は、「水素はこれまで危険物として緊急管理部門の管轄下に置かれ、活用や普及が思うように進んでいなかった。今後はエネルギーとして管理されるようになることで、一般市民からの誤解や過度な心配が和らぐ上に、これからの成長へ基盤が築かれる」と述べている。
水素は「エネルギー法」の枠組みの中で、国や地方の総合エネルギー計画に加えられ、より体系的な管理や支援を受けることになる。この法ではエネルギーの開発について、再生可能エネルギーの優先や低炭素化の推進といった内容が盛り込まれており、これらも水素の普及を後押しするものである。また水素は、サステナビリティーの確保に向けて価格も政府の管理下に置かれる見込みである。さらに今回の法は、エネルギーの備蓄や緊急体制も定められており、水素も対象となっている。すなわち、非常時には水素をエネルギーとし利用することが可能になる。
(中国経済新聞)