中国は2024年1~9月のウイスキーの輸入について、金額は前年同期より28.5%、数量は同じく20%のマイナスとなった。ただし業界では引き続き投資を呼び込んでいる。イギリスの酒造大手「ディアジオ」は雲南省大理で初の中国蒸溜所となる「雲拓」を設立し、デブラ・クルー(Debra Crew)CEOが除幕式で「事業所の拡充へ今後9年間でさらに約8億元(約170億円)を投資する」との長期計画を発表した。
低迷する中国のウイスキー市場であるが、海外の複数のスピリッツ大手や国内企業が引き続き開拓を進めている。フランスの蒸留酒大手「ペルノ・リカール」は、四川省峨眉で初めての蒸溜所となる叠川工場を建設し、商品も発表したほか、中国の白酒メーカー「郎酒集団」も同じく峨眉に30億元(約639億円)をかけてウイスキー蒸溜所を建設すると発表した。またビール大手の青島啤酒もウイスキーの生産を手掛ける予定という。中国酒業協会の宋書玉理事長によると、中国には現在、ウイスキーの蒸溜所が計45か所存在している。
公開データによると、2023年の国別に見たスピリッツ消費量におけるウイスキーの割合は、インドが67%、日本が50%、韓国が21%で、中国は1%程度である。業界内では、中国ではウイスキーはマイナーな存在だが将来性は十分と見られており、夜の舞台から一般家庭へ徐々に浸透し、加えて若者たちの間で様々な度数の低いアルコールを求める傾向が高まり、市場が拡大するという。「2023年ウイスキー年間報告」によると、中国ではウイスキーの消費者のうち18-29歳の割合が39%を占めており、また30歳以下の愛飲者は過去3年間で74.2%増加しているという。
さらに、日本の成功経験を取り入れる動きも出ている。日本のウイスキーは、独自の製法や現地化を果たしたことでたちまち海外で人気を集めていった。ディアジオの大中華圏トップであるアトゥール・シャパラル氏(Atul Chhaparwal)は、「中国は、ウイスキー市場はまだ成長前の段階であるが、アルコール飲料の市場規模は世界の4分の1を占め、成長の余地は十分にある」と指摘している。
(中国経済新聞)