2023年は中国の不動産市場が大きく揺れ動いた。国家統計局によると、物件販売について面積は前年比8.5%減の11億1735万平方メートルで、うち住宅は8.2%の減少であった。また販売総額は6.5%減の11兆6622億元(約240.07兆円)、うち住宅はマイナス6.0%だった。ピークだった2021年と比べると金額は30%以上も落ち込んでいる。
ただ年後半は、政府から支援策が打ち出された上、供給面も改善したことから、国家統計局のデータでは販売金額や規模の落ち込みも縮小してきている。
価格面を見ると、元に戻るにはまだ不十分な状態であり、中でも中古物件については落ち込み幅が大きい。国家統計局の最新データでは、12月は主要70都市が軒並み前月よりマイナスとなっている。
値下がり幅の前月比を見ると、新築物件については一、二、三線の各都市で0.1ポイント拡大して0.4%-0.5%であり、中古物件は一線都市のみ縮小したがそれでも1.1%、二線都市は拡大、三線都市が横ばいとなっている。
国家統計局データによると、不動産企業の資金のうち手付金、前払い金、ローン返済金の占める割合が半分以上となっており、去年1年間におけるこれらの前年比を見ると、手付金、前払い金が11.9%減、ローン返済金が9.1%減で、1-11月と比べてもやや悪化している。つまり売行き不振で資金繰りが苦しくなっているわけである。
2023年の中国の不動産開発投資額は11兆913億元(約228.3兆円)で、前年より2兆1982億元(約45.25兆円)、率にして約9.6%のマイナスであった。このうち住宅投資額は9.3%減の8兆3820億元(約172.5兆円)だった。また新規着工面積も前年比減だったが、第4四半期は減少幅が縮小している。「物件引き渡し」への取り組みが進んでいることで、建設面積も増え続けている。
2024年の見通しについて、国盛証券は「新規着工は引き続き伸び悩むだろうが、『三大工程』で前向きな動きが出てくる」と見ている。また四川省成都の都市建設発展研究院の馮波副院長は、「マクロ経済が安定することで不動産市場の成長基盤が固まる」と見ている。さらに広東省住宅政策研究センターの上席研究員である李宇嘉氏は、「不動産市場はまだリスクを分散している最中」と慎重な見方を示し、現在取り組むべき仕事として、中古物件の取引効率改善と不動産各社の融資問題処理を挙げている。
(中国経済新聞)