毎年11月の第4金曜日に行われるブラックフライデーは、米国における年末商戦の幕開けとされる。この日、米国の大手加盟店は割引やプロモーションを開始し、大規模なキャンペンセールを実施する。電子商取引の追加により、「ブラックフライデー」は国境を越えた販売業者にとって大忙しとなるが、今年は多くの売り手が「注文数が例年に比べ少ない」と嘆いている。
今年は、ブラックフライデーのプロモーション期間が最も長い。米国およびヨーロッパ地域におけるAmazonは11月17日から11月27日まで、AliExpressのは11月20日から11月29日までとなっている。
史上最長のプロモーション期間を記録したブラックフライデーだったが、多くの販売者、特にアマゾンプラットフォームでの販売者にとって例年に比べ販売量が減少した。
アマゾンのプラットフォームで年間売上高が1000万ドルを超えるアパレル業者のチェン・ハイさん(仮名)も、同様の状況に遭遇しており、「アマゾンでの自身のブランドの売上は、昨年の期間中に比べ半減している。こうした状況は新興プラットフォームによるものだと考えている。世界市場は縮小傾向にあり、一部のプラットフォームは成長を遂げているが、SHEINとTemuが参加したことで、競争が激化している」と述べた。
寧波新東方工貿有限公司の朱秋城(ジュ・チュウチェン)CEOは、「価格面から見ると、ブラックフライデー割引の支援を受けたアマゾンの商品は、拼多多(ピンドウドウ)傘下のTemuで販売されている商品の価格と変わらない。Temuの商品は他社に比べ非常に安く、例えば、ある商品の販売価格がTmall(天猫)では100元(約2084円)であるのに対して、Temuでは10元(約208円)という安値になっている。中国発のアパレルECの台頭により、より一層商品の低価格化が進んだことで、今年のブラックフライデーにおける売上高は例年に比べ大幅に減少した。
それ以外の要因として、丁玲超(ディン・リンチャオ)氏は「今年は商戦が延長され、アマゾンのプライム会員デーが過ぎたばかりで、すぐに他のセールが行われており、ほとんどの購入者が飽きてしまっている。また、商戦が長期化することで購入者は考える時間が増え、当初の衝動的な購買意欲がより合理的で複雑な購入プロセスに変わってきている。短期的なプロモーション活動は売上を増加させる可能性があるが、大幅な割引は通常価格に対する消費者の受け入れを弱め、販売者の利益に影響を与える可能性もある。全体的な競争の観点から見ると、今年特に顕著なのは新興プラットフォームの台頭であり、市場競争や価格変動が激化し、大幅な値下げが行われ、加盟店の利益がさらに圧縮される可能性がある」と述べた。
(中国経済新聞)