世界最大手のフィットネスプラットフォームである中国の「Keep」が7月12日、香港証券取引所で上場を果たした。この前日にKeepが発表した公告によると、香港株IPOの公募価格は28.92香港ドル(約510円)で、これによる世界からの調達額はおよそ1.92億香港ドル(約33.9億円)である。
中国で名の知れたフィットネスアプリであるKeepは、上場まで苦しい道のりを歩んだ。2021年にアメリカでIPOを果たすとの情報が伝わったが、すぐに中止と報じられた。2022年には香港証券取引所に目論見書を提出し、年の後半に更新したが、いずれも6か月以内に返答がなく失敗に終わった。そして今年3月28日に改めて香港で目論見書を更新し、6月21日にヒアリングを通過して、7月12日にようやく上場を果たした。
目論見書によると、Keepは中国のスポーツテクノロジーで規模や売上高が最大の会社であり、国内に登録ユーザー数3億人、アクティブユーザー数3640万人を有し、iOS中国エリアにおけるメディカル・フィットネス分野でランキングトップである。
ただしKeepは、運営開始から9年あまりでいまだに損失を計上している。リサーチ会社「透鏡」の創業者である況玉清氏は、Keepのビジネスモデルは今の資本市場にふさわしいものでなく、上場後の公募割れもしかるべきと述べる。それにもかかわらず上場を狙ったのは、「上場しないとお金を使い果たして今後ますます苦しくなる」と見ている。今回の上場で新たな資金調達の道が開け、利益を計上する前に安全面でより高い柵が築けるほか、スポーツテクノロジー分野での初上場といったブランド効果も生まれるという。
Keepは目論見書によると、2019~2022年における調整後の年間損失額は順に3.66億元(約70.6億円)、1.06億元(約20.4億円)、8.27億元(約159.6億円)、6.67億元(約128.7億円)となっている。2022年は前年比で縮小したが2019年、2020年よりまだ高い状態である。
また目論見書では、創業者でCEOである「90年代生まれ」の王寧氏が1.09億株を保有し筆頭株主となっている。したがって王氏の資産額は、IPOを果たした今、30億香港ドル(約529.4億円)近くに達したことになる。
(中国経済新聞)