92歳女性が10年間の商売で4億円を返済 不滅の言葉、それは「誠意」

2022/12/6 16:18

浙江省麗水(Li Shui)で12月、「誠意のおばあちゃん」と呼ばれる92歳の陳金英(Chen Jinying)さんが寒風吹き付ける中、例年通りダウンジャケット店を開いた。「もう年だから、今年在庫分を全部売って店じまいする」と話している。

陳さんは52歳だった1983年に麗水で、中華の振興を意味する「興華羽絨」(Xing Hua Yu Rong)というダウンジャケットの工場をなけなしの3000元(約58873円)で立ち上げた。その後20年あまり、売上高は一時期1000万元(約1.96億円)を超えた。

しかし2008年のリーマンショックの後、2077万元(約4.08億円)という膨大な借金をかかえてしまった。破産申告をするよう友人に進められた陳さんは、80歳になっていたが、自力でまかなうと言った。建屋を低価格で譲った上、住宅2件を売却して1800万元(約3.53億円)を返済したが、まだ277万元(約5436万円)の負債が残っていた。

陳さんはそれから10年、80代の高齢でありながら寒い冬も毎朝5時過ぎに起きて出店を広げ、丸1日商売をした。そして90歳になった2021年、ようやく借金を完済したのである。

いつの間にか2022年になり、身軽になった陳さんだが、麗水ビルでのダウンジャケット売りも最後の1年となった。見納め間近なこの小さな店こそが、10年間に渡る陳さんの最高の誠意の証なのである。

陳さんは2022年1月、2021年度の「浙江省の誇る人物」に選ばれた。表彰式で審査員は、「羽毛は軽いけれど、重い信頼を載せられる。長い返済の道のり、10年間歩き続けても及ばない。高齢の身でゼロから立ち上げ、頑張りぬいた人生。金は返すべき、立ち向かって、支えてくれた人を忘れない。粘り強さで模範を描き、真心で石碑を築いた」と語った。

(中国経済新聞)