中国は今年1月~10月の「新エネルギー輸送車」の販売台数が前年比78.1%増の16.7万台で、2021年の年間販売分(13.1万台)を超えた。電動車資源業界研究院の予測では、今年1年間の合計台数は20万の大台を突破するという。なお2020年の販売台数は6万台以下であった。
急成長の理由は国の支援策によるもので、「新エネ車産業発展計画(2021~2035年)」によると、2021年以降、国の環境保護指定エリアや大気汚染防止重点エリアでは、バス、タクシー、トラックなどの新規購入または買い替え分は新エネ車の割合を80%以上とすると定められている。また、今年は各地で新エネ車の普及に取り組む事業が続々と始まったことで、新エネ輸送車の注文台数が大きく伸びている。
新エネ輸送車は現在、輸送距離や用途別に大型・中型・軽型トラック、ワゴン車、軽型バスなどに分類され、ワゴン車、軽型バスの販売台数が全体の7割以上を占めている。一方で軽型トラックや大型トラックは利用場面やコストなどの制約を受けて普及が進んでいない。
この中で、宅配業の急成長を受けて都市部の末端配送を担う商用車が今後大きく伸びると見られている。これについて今、電動の三輪車がその役を担っているが、国の認可を得ておらず、「車両生産企業および製品公告」の対象外である上、省の自転車電動車協会への登録もしていない規格外のものである。
主な都市で電動三輪車の走行規制措置が広まっており、代替手段への移行策が打ち出された地域もある。今年に入って各地で三輪車の走行を禁止する措置が打ち出されたことで、末端配送用の車両に注目が集まり、業界内ではこの分野が新たな市場になるものと見られている。五菱、徳力のほか、北汽福田、上汽、開雲汽車(KAIYUN)なども小型EVを打ち出してシェア争いに参入している。
開雲汽車のチーフ・バリュー・オフィサーである鄧元鋆氏は、「これから各都市で三輪車の取締りや規制策が打ち出され、末端配送は他の手段が必要となる。宅配業における電動三輪車の代替需要は1000万台レベルかつ1000億元規模(約1.9兆円)と見られ、スマート商用車がまさにその中に存在する」と述べている。
(中国経済新聞)