中国でPCR検査機関235社がデータ改ざん コロナに乗じて大儲け

2022/11/30 15:51

甘粛省蘭州市で、PCR検査機関の「核子華曦実験室」が、陰性と判定された一部の市民に陽性と伝え、この市民達が隔離施設に送りこまれるという事態が発生した。これを受けてネットでは、この「核子華曦実験室」とは一体どのような検査機関なのかといった話題が沸騰している。

検索の結果、「核子華曦実験室」は資本金が1000万元だが払い込み額は0元であり、2022年8月8日の発足直後に蘭州市政府の認可を取得し、PCR検査機関となった。蘭州市ではその後すぐにコロナ感染者が多発している。

妙なことに、この「核子華曦実験室」が進出した地方がいずれもコロナに見舞われている。9月には安徽省合肥で発足し、翌月の10月に現地でコロナが発生したほか、山西省太原は10月に発足して11月に感染者が多発、また青海省西寧は11月12日の発足直後から感染者数が急増している。

商工局の登録情報によると、「核子華曦実験室」は広東省深センにある「核子基因公司」の子会社で、実質的な経営者は医療検査会社62社を配下に抱えている張核子氏である。

核子基因はもともと子供の遺伝子検査に従事する会社だったが、コロナの拡大を受けて業務内容を即座にPCR検査に切り替え、短期間で中国全土に拡大し、多くの地方で検査を一手に引き受けるようになった。

地方政府はいずれもPCR検査の結果を感染対策実施の根拠としていることから、全住民が絶えず検査をうけ、この結果地方政府が巨額の負担を強いられているが、その一方で検査会社は大儲けし、利益が2万倍に達した会社もある。

コロナ発生から3年間、どの業界も不景気である中、唯一安泰を続けるPCR産業は上場会社も続々と現れている。2022年6月末の段階で時価100億元以上の上場会社は15社あり、1月~6月の営業収入の合計額は868.54億元にのぼる。

PCR検査機関からすれば、まさにコロナさまさまである。このため陰性結果を陽性にすり替えて地域全体で数か月間も休まず検査をする羽目になった地域もあり、これにより地域全体がロックダウンし、会社も倒産して失業者も多発、自殺に追い込まれる人まで出ている。

中国政府はこれまでに、データの改ざんや不正報告などでPCR検査機関235社を処分している。だが、巨額の利益に目がくらんで改ざんを続けている会社もある。

ネットでは「PCR全員検査が終わればコロナも終わるはず」とのコメントが出ている。

(中国経済新聞)