近年、世界のロボット産業は活況を呈しており、市場規模も急拡大を続けている。「中国ロボット産業発展報告書(2022年版)」によると、2022年には、世界のロボット市場が513億ドル(約7.37兆円)、中国のロボット市場が174億ドル(約2.5兆円)に達すると予測されており、また同時に、ロボット関連の新しい職業も次々と生まれている。生産ラインでは多くの産業用ロボットが「忙しく」働いており、関連する操作やシステム統合の知識を持つ技術者の需要が非常に高まっている。
実際、ロボット分野ではすでに人手不足が顕在化しており、関連する工学技術などの専門人材が求められている。中国人力資源・社会保障部が発表した2022年第2四半期における中国で最も雇用が不足している100の職業ランキングによると、「コンピュータネットワークエンジニア」や「産業用ロボットシステムオペレーター」等製造業での雇用不足が続いており、その中でも、産業用ロボットシステムオペレーターの不足はより深刻になっている。データによると、中国の人工知能ロボット産業だけで500万人もの人材が不足しており、中でも複合型人材やハイレベルな人材が不足している。
中国でクラウドベースの知能ロボットオペレーター開発を手がける「達闥機器人」の関連責任者によると、現在、ロボットオペレーティングシステムやマルチモーダルロボットなどの中核分野で人材が不足しており、ロボットの操作、設置、デバッグ、プログラミング、メンテナンスなどの能力を持つ総合的な人材が市場におらず、「見つけるのも難しい」と言われている。
ロボットとは、機械、電子、制御、コンピュータ、センサー、人工知能など、複数の分野の高度な技術を結集したデジタル機器であり、この業界は、従来のインターネット業界とは異なり、経験や高度な技術が必要とされる。あるロボット技術者は、「条件が厳しく、高い総合的スキルが要求されることから、この業界で働く人の数を大規模に増やすことは非常に難しい」と話す。
中国では現在、ロボット産業における人材確保の重要性が以前にも増して高まってきていることから、関連する政策が徐々に整備されてきている。過去3年間で人力資源・社会保障部は47の新しい職業を発表し、そのうち15が人工知能・ロボットと直接関係していることから、最近では、多くの大学で人工知能やロボット関連の学部が新設されている。
(中国経済新聞)