全国重点大学の卒業生が地方の県で仕事探しへ

2022/09/13 15:00

中国全国に39カ所ある重点大学(国立大学)の卒業生にとって、毎年行われる「選調生」試験は地方の県*へ入る「近道」となっている。また「最低限の保障」が約束される選択でもある。

「選調生」とは、中国にある各省の党委員会組織部門が、計画的に大学や大学院から今年度学部等を卒業する予定の品行方正で優秀な学生を地方の仕事に就かせることだ。運営にあたる党幹部と県以上の政府機関で能力の高い後継者を重点的に育成するためのグループの略称である。

この選調生が近年、全国に39カ所ある重点大学の卒業生が県級政府内で仕事をする重要なルートとなっている。選調生への敷居は比較的高いが、普通の公務員と比べると、名門校の制約があることで持ち場争いのストレスは少ない。一方で、公務員であるため「安定」と「ゆとり」がある。少なくとも、現地では比較的良い収入が入り、自由に休みを管理できる。体裁の良い仕事だと言える。

「2022年大学生就業報告」によれば、2022年の卒業生は1076万人で去年よりも167万人増加したという。

この報告で2021年から2022年度の大学卒業生の就業割合を見ると、企業への就業率は減少し、大学院入試、公務員試験などの道が選ばれるようになっていることが分かる。2022年の中国国家公務員試験の受験者は、最高で212.3万人で200万人を初めて突破した。そして17.57%の大学卒業生が公務員試験に合格し、2021年度よりも0.73ポイント増えた。 「清華大学2021年度卒業生の就業レポート」によれば、2021年に学生と企業、そして学校の三者によって認められ正式に就職した卒業生の総数は3669人で、そのうち党政機関や国営企業などいわゆる「体制内」へ就業した人数は46.1%を占めた。

注:中国の県とは、市より規模の小さい町のことを指す。

(中国経済新聞)