中国の新エネ車メーカー「蔚来」が9月6日、2022年第二四半期の決算を発表した。これにより「小鵬汽車」、「理想汽車」と合わせた新興自動車メーカー3社の2022年上半期の業績がすべて出そろい、売上高は蔚来が202億元(約4177億円)、小鵬が148. 9億元(約3079億円)、理想が182.95億元(約3783億円)となっている。
しかし四半期決算では3社とも赤字であり、その額は蔚来が27.57億元(約570億円)、小鵬が27.01億元(約5585億円)、理想が6.41億元(132.5億円)で、ともに2021年以降で最大の赤字計上となった。電池の材料価格の高騰を受けて車両の粗利率が下がったことによるものである。
「瀬戸際」を乗り切っていた3社がまた、新たな難関を前にしている。
中国の新エネ車市場は現在まさに「戦国時代」であり、特色十分である新興3社のほか、売上トップを行くBYD、またテスラや上汽GM五菱、さらには従来メーカーが産んだ各ブランドも伸び始めている。これら各社の影響で新興3社は一段と厳しい競争環境に置かれている。
ドイツのコンサルティング会社・ローランド・ベルガーの大中華圏副総裁である鄭贇氏は取材に対し、「どの業界でもかき乱し役となる『ナマズ』のような存在が必要だ。新興勢力が製品、営業モデル、顧客対応といった面で打撃を加える。ただ既存の会社はすぐに対応できる上、十分に安定した生産体系や仕入れ先の支配権を有している」と述べている。
新興メーカーはEV業界の牽引役となっており、またそこに至るまで多くの部品や設備をゼロから作り上げ、整備していったが、かなりの資金を費やしている。遅れて参入した既存各社は元からコストを抑制する力を備えている上、EVにおけるサプライチェーンの整備が3年前よりもずっと楽になっているため、一段と強烈な追い上げを見せている。
(中国経済新聞)