メタバース不動産が大幅下落 仮想の世界も「詐欺行為」あり

2022/09/3 17:55

不動産業界の不振が続いている中国は、メタバースの世界でも不動産が伸び悩んでいる。

メタバースと暗号通貨が脚光を浴びた2021年、様々な業種がメタバースの世界に参入した。その中で不動産取引も盛んになり、売値が一時期北京よりも高くなった物件を先を争うように買い求める状態となった。

CNBCの報道によると、メタバースにおけるブロック当たりの地価は、2017 年は20ドル(約183元,約3700円)だったが、2021年には4万元(約81万円)以上に跳ね上がった。2021年の北京の平均地価は58740元/平方メートルである。

メタバース不動産とは、メタバースの世界、つまり仮想の世界での物件や土地であり、現実の不動産と大変よく似ていて、住むことはできないが建設、投資、所有、賃貸、売却、購入が可能で、場所や付帯設備などが価格を大きく左右する。

主なデベロッパーとしてDecentraland、The Sandbox、Cryptovoxels、Somnium Spaceなどがあり、この中でThe Sandboxが一番の主力となっている。

Decentralandの場合、システム上に90601ブロックの土地(面積はバチカンの48倍)を発表しており、1ブロック単位(232平方メートル)で取引している。これらの土地は、暗号通貨バレー(シリコンバレーに相当)、ファッション街(ビバリーヒルズに相当)、カジノエリア(ラスベガスに相当)など様々なエリアに分けられており、それぞれの土地を落札して住宅地区や商業エリアにしたり、一般市場分から直接買い入れたりすることができる。

不動産大手のほか、プライスウォーターハウス、アディダス、ワーナーミュージックなどもメタバースで土地を購入しており、相談所やコンサート場などを築いている。

ブロックチェーン企業・Tokens.comの創業者で最高経営責任者であるAndrew Kiguel氏は以前、メタバースで価値のある場所はブランドや広告が集結した場所だと述べている。各社にとって、メタバースで大事なのは建物ではなく広告パネルであり、メタバースで土地を購入するのはインターネット上でバナーを購入するのと同じである。

ところが2022年に入り、メタバースの主な仮想土地が大幅に値下がりしている。ブロック当たりの平均価格は1月にはおよそ1.7万ドルであったが、8月にはおよそ2500ドルまで下がっている。

メタバースを分析しているWeMetaのデータでは、不動産価格は2022年上半期に85%値下がりし、去年1.6万件だった販売件数は、今年は8月までの合計が2000件で、87.5%ダウンとなっている。

メタバースはここ2年ほど、不動産だけでなくコンセプトにも注目が集まり、さらにはデジタルコレクション、SNS、ゲームなど様々な経済行動も生まれているが、いっとき盛り上がっただけでデフォルトに陥るケースが相次いでいる。

中国の経済界では、「メタバース」に乗じた市場の混乱を防ぐように規制を求める声が出ている。

(中国経済新聞)