近年、一部の大学で重要な行事に漢服(漢民族の民族衣装)を着用することが流行し、インターネット上で話題となり賛否両論を巻き起こしている。例えば、最近ネット上に出回った華東理工大学の2020年卒業式の写真については、ほとんどが批判的な声だった。ある人は、華東理工大学の様々な学生や教員が卒業式で着ている漢服は正式な漢服ではなく、舞台上の演劇衣装で、明るく華やかな色使いであり、標準的な書生の着る漢服はもっと地味であると述べた。
読者からは「外見は長袍(チャンパオ:中国の伝統的な衣服)、足元はナイキの靴というのは、不謹慎だ。 漢服には規則や注意事項があり、 漢服は全体の調和を保つために靴、帽子、化粧、アクセサリー、ヘアスタイルに一定の条件を設けている。本当に中国文化を振興するのであれば、真剣に漢服を勉強して、伝統文化の真面目さを保証するような着用をしてほしい」という声が上がった。
一方、江蘇師範大学では「漢服を着た1000人の卒業式」の動画が話題になっている。映像では、校長をはじめ1000人以上の生徒や教師が漢服を身にまとい、中国の伝統音楽に合わせて、厳かで壮大な式典の様子が映し出されている。式典では、校長や教員が漢文で式辞を述べ、中国文化を取り入れた特色のある卒業式が行われた。
式典中、卒業する大学院生が全員、漢式角帽を被って正座し、途中全員が起立し、卒業生は両親、先生、学校に三度拝礼をした。その後、卒業宣誓が行われ、大学幹部から卒業生一人ひとりに学位記が授与され、最後に、卒業生全員で漢の高祖劉邦の詩である「大風の歌」を歌い、門をくぐり抜け、明るい未来へと向かって行った。
江蘇師範大学では、少なくとも8年連続で大学院生の卒業式を漢式で行っている。同大学によると、漢服は、一方では優れた中国の伝統文化の価値を広め、大学院生の文化リテラシーを高めるために用いられ、他方では卒業式という儀式を反映しているという。今後も漢式卒業式を継続し、大学の伝統文化教育の光り輝く切り札となるよう努力すると述べた。
加えて、「徐州は漢王朝の文化発祥の地であり、地元の大学として、市の歴史文化価値を深く掘り下げ、伝統文化教育の入り口として、漢服の文化的特色を際立たせる伝統的な要素や象徴的なシンボルを厳選した」とも述べた。
こうした背景から同校は漢文化研究所を設立し、主に漢王朝の地域文化、漢代の絵画芸術、漢代の音楽や文学、漢代の宗教文化、及び漢文化と文化産業などの研究を行っている。また、漢楽団、漢舞団、漢楽合唱団などの学生組織も結成されている。
大学の卒業式において、漢服文化の振興をいかに正しく理解し、再現するか、伝統文化の厳かさをいかに保証するかが課題だ。
(中国経済新聞)