中国国家薬品監督局は7月25日、河南真実生物科技の「阿シ夫定」錠を新型肺炎適応症の治療薬に条件付きで追加登録することを認めた。III期の臨床データ発表からわずか10日後での承認は、業界内では異例である。
阿シ夫定は、中国で開発された小分子量の新型肺炎治療用飲み薬であり、2021年7月20日に薬品監督局が、他の逆転写酵素阻害薬との併用によりウイルス量の多い大人のHIV-1感染者の治療に使うことを承認していた。今回は適応症が追加され、大人の一般型新型コロナウイルス(COVID-19)患者の治療に用いられる。
公開資料によると、エイズの治療薬である阿シ夫定の現在の売値は1ミリグラムおよそ26元で、コロナの治療のために1日5ミリグラムを服用する場合、治療クールの7日間で計910元ほどである。一方、今年初めに中国に導入され、国内で唯一の競合品となるファイザー製薬のPaxlovidは、1クールでおよそ2300元かかる。
真実生物は、ほぼ同時期に阿シ夫定の商業化の権利を復星医薬( 600196.SH ,2196.HK)に引き渡した。復星医薬は認可を得た日の夜、真実生物とともに共同開発を進めることや復星医薬による阿シ夫定の独占商業化などといった件について、両者で合意した。契約により、復星医薬は独占販売する権利を取得している。
(中国経済新聞)