中国の製薬会社が相次ぎシンガポールに進出

2022/07/21 19:30

中国の医薬品受託製造(CMO)大手である薬明康徳と薬明生物がともに7月19日、今や世界のバイオ医薬企業が集結する場となったシンガポールに拠点を設けると発表した。建設費として、今後10年間でともにおよそ20億シンガポールドル(約1963億日元)を投入するという。

薬明康徳は開発および生産の拠点を設け、アジア、ヨーロッパ、北米などの拠点とも合わせてグローバルな運営体制を整備する。

薬明生物は、バイオメディカルの開発サービスや大規模な原液、製剤の工場を備えたCRDMOサービスセンターを建設すると発表している。同社は現在、全世界でおよそ1万人の社員を有し、中国の無錫や杭州、およびドイツやアメリカなどに生産拠点を設けている。

コロナの発生を受け、中国のバイオテクノロジー各社もワクチンに関する事業の展開へシンガポールに乗り込んでいる。シノファーム( 01099.HK )の子会社は1億ドルをかけて現地のイノーバ・バイオメディカルと合弁会社を設立しており、2022年には現地工場でコロナ用ワクチンの滅菌注入を始める予定である。

新拠点にシンガポールを選んだ理由について薬明康徳は、バイオメディカル産業が急速に発展し、またライフサイエンス産業も整っていること、さらにバイオメディカルの人材が備わっていることを挙げている。

現在、アムジェン(Amgen)、メルク(Merck)、グラクソ(GSK)、ファイザー(Pfizer)、ノバルティス(Novartis)などのバイオテクノロジー大手が、製剤や原料薬、製品薬の生産に向けて、シンガポールに本社または製造拠点を構えている。

(中国経済新聞)