マンション完成せずローン支払い拒否が続発 不良債権100兆元規模に

2022/07/14 16:45

中国で、新築マンションが完成せずに入居予定者がローンの支払いをボイコットするという、「ローン返済拒否」が相次いでいる。財新網によると、現在、河南省、湖南省、江西省、河北省、広西自治区、山東省など20の地域の70か所で合わせて150軒以上のマンションで、「一定期間内に建設工事が再開されない場合は入居予定者がローンの返済を拒否し、そのリスクや損失は双方が負担する」との声明が発表された。

これらのマンションは、引き渡しが何年も遅れている未完成放置状態のもの、あるいは引き渡し時期は先だが業者が資金不足で工事再開が出来なくなっているものである。その多くは、恒大、新力、世茂などが事業主となっている違約状態の案件である。

これら各社による工事中断部分の面積は平均20%前後、また全業種における違約業者の産出分は約25%で、中断している面積は施工面積である97億平方メートルの5%前後にあたるおよそ5億平方メートルと思われる。銀行側からすれば、中断部分が5億平方メートルとすると、その資産は5兆元(約102兆円)に相当し、いずれも販売済みで頭金割合が60%とすれば、ローン返済分は2兆元(約41兆円)となる。つまり、ローンの返済が止まれば不良債権が一気に増えることになる。7月13日、A株(中国株)で銀行銘柄が大きく値崩れし、中証銀行の指数は終値で2.37%ダウン、6社が3%以上の下落であった。

このように放置物件が増えてローンの支払い拒否が拡大すれば、不動産業界に多大なマイナスが生じる。ある不動産関係者は、「明るい兆しが見え始めた中、ローン拒否が相次ぐようになれば、市場への自信が再び弱まってしまう」と強い心配感を示した。

不動産業界で激震が相次いだ去年あたりから、各都市でマンションの工事中断が増えている。各地方政府や不動産会社は、「引き渡し確保」を最優先に据えているが、売上不振による資金不足という現状にあって、本格的に建設工事を再開するのは相当の骨折りである。工事の中断について業界関係者によると、事業の売上金が流用されて工事にお金が回らなくなり、仕入元が代金を得られず、仕事に身が入らないことが原因だと話している。工事は再開してものろのろ状態だというのである。

(中国経済新聞)