河南省の地方銀行で8億円が消失 40万人が預金引き出せず

2022/07/11 14:51

河南省で、「村鎮銀行」と呼ばれる地方銀行の預金の引き出し不能問題で、顧客による抗議が再び発生した。中国各地の預金者が河南省なだれ込むのを避けるため、遼寧省や江蘇省などで、健康アプリが再び「赤コード」になって外出が出来なくなった顧客がいる模様である。

その1人が、浙江省温州市で建設関連の仕事をしている47歳の葉峰さんである。

学歴は浅いが頭脳明晰である葉さんは、10代のころから働き始め、ゼロからの起業で相当の財産を築いた。中国経済が下り坂をたどる中、4000万元近い現金があることで、十分な「安全感」を抱いており、今後数年間は新規の建設工事が手掛けられる上、景気の変動にも対応できると見ていた。

以前からリスクに警戒感を持っていた葉さんは、「お金は銀行へ」との考えを20年以上貫いていた。

葉さんは2020年に、友人の紹介で河南省の地方銀行を知った。「地方の小さい銀行は見返りも高い」と感じ、利息が月9%という河南省の銀行3社にその4000万元(約8.1億円)を預けた。

その4000万元を失い、「半生分の財産がなくなった」と感じた。

同じ境遇のグループチャットで、80年年代、90年代生まれの世代は、お金はほぼ親から受け継いだものであると分かった。「でも自分らの世代は、ほとんど1人で汗水流して稼いだものだ」と葉さんは言う。

現在、焦りや待ち望みの中で日々を過ごす預金者が40万人以上おり、お金が引き出せなくて手術ができない患者もいる。

「村鎮銀行」はもともと、農村地域における懸案であった金融問題の解消に向けて、政府の認可により設立されたもので、「地元での預金や融資」を実現して、農村の整備や経済成長に向けて資金を有効活用することが狙いであった。

しかし、登記の条件が緩く、また出資構成の整備が進まず、農業から逸脱した方向に進んでしまった上、オンラインによる「金融アプリ」が氾濫したことで、規模が膨張の一途をたどっている。

中国銀行保険業監督委員会によると、2021年末現在、中国に4602社ある銀行のうち、この「村鎮銀行」が種類別で最も多い1651社となっている。2021年6月時点における中央銀行による金融機関への格付けを見ると、これらのうち122社がハイリスクと見なされている。

(中国経済新聞)