中国の卒業シーズンである6月、大学の卒業予定者は1078万人で、初めて1000万人を突破した。しかしその多くは就職先が未定であり、まれに見る氷河期状態となっている。
第一財経日報によると、今年の中国経済はコロナ禍などで下振れが深刻であり、経営困難で倒産する企業も増え続け、リストラや賃金カットが常態化している。よって採用可能な企業も減る一方で、内定率がわずか10~15%という大学もある。
江西省の交通職業技術学院を今年卒業する廖さんによると、クラスメート48人のうち内定者は10人ほどで、それ以外は就職をあきらめ、7月の4年制大学への編入試験を目指すほかないとのことである。
廖さんが専攻している情報処理系はとりわけ就職難であるといい、履歴書を送ってもほとんど返事がなく、工場での現場作業すら採用の望みが薄いという。
こうした状況から、ひとまず公務員に「腰掛け」しようとする新卒生が増えている。2009年に初めて100万人を超えた国家公務員試験の出願者数は、その後も増え続け、今年はついに200万人を突破している。
組織の中での安定を望む若者たちであるが、そこに入るハードルも年々上がっており、オックスフォード大学やロンドン大学、中国の清華大学や北京大学など、世界ランキング20位以内の学生がしのぎを削る状態である。北京でも、博士課程ながら市場管理程度の職務に応募する例もある。
こうした公務員試験ブームを受け、専門の予備校も増えつつあり、授業料が3万元以上(50万円以上)に達するところもある。
(中国経済新聞)