中国駐フィリピン大使館はこのほど、2026年上半期(1~6月)にフィリピン国内で中国人が被害者となる誘拐事件が7件発生したと発表した。件数は前年同期比で36%減少したものの、大使館は在留・渡航予定の中国人に対し、防犯意識を一層高めるよう呼びかけている。
発表によると、2月にはマニラで男性が車に押し込まれて連れ去られ、家族が身代金を支払った後に解放された。また、SNS上の広告を通じて自動車教習を申し込んだ女性が迎えの車で誘拐され、身代金支払い後に解放される事件も発生した。このほか、SNSを通じて助けを求めるメッセージが送られ、家族が100万Uコイン相当の身代金を要求されたケースも報告されている。

4月には、SNSで知り合った「マニラ勤務」の男性に観光へ誘われた女性が誘拐されたが、監禁中に隙を見て脱出した。5月にはパサイ市で男性が複数人に車へ押し込まれて連れ去られ、家族が身代金を支払った後に解放された。
6月には、マニラ市内のカジノホテルで女性が不法に監禁され、多額の資金を奪われた後、自力で脱出した。また、中国人女子留学生が紹介を受けてマカティ市のマンションで子どもに水泳を教える仕事に向かったところ、室内で男2人に拘束され、所持品を奪われたうえ、オンラインローンの契約を強要された。犯人は家族や友人にも身代金を要求したが失敗し、その後女性は解放された。
中国大使館によると、7件の事件には共通点があり、被害者はいずれもフィリピンで長期間生活、就労、または留学していた中国人で、容疑者も中国人だった。事件はすべてマニラおよびその周辺で発生しており、オンラインカジノや特殊詐欺、債務トラブルに関連するもののほか、SNSを通じた交友や就職活動、自動車教習の申し込みなどがきっかけとなったケースも確認されている。
中国駐フィリピン大使館は、中国国民の安全と合法的権益の保護を重視しており、両国の法執行機関と連携して越境犯罪の取り締まりを継続するとしている。今年上半期には、中比両国の合同捜査により中国籍の犯罪容疑者56人が逮捕・送還され、このうち4人は誘拐事件の容疑者だった。
大使館は在留・渡航予定の中国人に対し、外出時は複数人で行動し、正規の配車サービスを利用することや、見知らぬ人の車に乗らないこと、治安の悪い地域を避けることを推奨した。また、SNSで知り合った相手との面会や、高収入をうたう求人、投資や両替などの勧誘には十分注意し、オンラインカジノや特殊詐欺に関与しないよう呼びかけている。
さらに、現地の安全情報を随時確認し、防犯や誘拐・詐欺対策への意識を高めることが重要だとしている。緊急時には、中国外交部の領事保護ホットラインや、在フィリピン中国大使館・総領事館の領事保護窓口へ連絡するよう案内している。
(中国経済新聞)
