2025年12月22日未明、フランス・パリ近郊セーヌ=サン=ドニ県デュニ市にある中国大手EC企業・京東(JD.com)の倉庫が、大規模な盗難被害に遭った。地元警察は直ちに捜査を開始し、現在も事件の全容解明を進めている。
事件は21日夜から22日未明にかけて発生したとみられる。倉庫の責任者が22日朝に出勤したところ、出入口の扉はこじ開けられ、倉庫内の監視カメラは意図的に破壊され、警報システムも作動しない状態だったという。犯行グループは約30パレット分の商品を標的に、スマートフォンやノートパソコン、タブレット端末、ヘッドホンなどの電子機器を中心に、計5万456点を持ち去った。
フランスの主要メディアや警察関係者の情報によれば、被害額は約3,700万ユーロ(日本円で約3億600万円相当)に上ると推定されている。クリスマス商戦を目前に控えた時期の事件ということもあり、注目を集めている。特に、オナー(Honor)やオッポ(OPPO)といった人気ブランドのスマートフォンやタブレット端末が多く含まれており、犯行の計画性や組織性が際立つ。

こうした中、京東は23日夜に公式コメントを発表した。「現地時間12月22日未明、当社がフランス・パリに構える倉庫が盗難被害を受けました。現在、関係当局が捜査を進めています。被害を受けた倉庫はすでに通常稼働を回復しています。一部メディアで報じられている『重大な損失』に関する数字については、実際の状況とは大きな隔たりがあります」
さらに京東は、自社の海外展開戦略にも言及した。「当社は近年、『グローバル・ネットワーク構想』を加速させています。これまでに世界23の国・地域で130カ所以上の海外倉庫を建設・運営してきました。すべての海外事業は、現地の法令を厳格に遵守した上で展開しています」
今回の事件は、京東が欧州市場で本格的な攻勢を強めている最中に発生したことから、関心が一段と高まっている。2025年に入り、京東は自社の越境ECブランド「ジョイバイ(Joybuy)」の本格展開を進め、欧州における当日配送・翌日配送サービスを強化しているほか、ドイツの大手家電小売グループであるセコノミー(Ceconomy)への出資など、大規模なM&A(企業の合併・買収)にも乗り出している。
(中国経済新聞)
