28歳新娘、結婚式当日に飛び降り自殺

2025/12/21 23:13

12月10日朝、河南省平頂山市魯山県の某住宅小区で、28歳の高校歴史教師である女性が結婚式当日に7階から飛び降り自殺した。この悲劇的な事件は、中国のネット上で急速に広がり、伝統的な結婚観や親の催婚(逼婚)問題、若者の精神的苦痛について大きな議論を呼んでいる。

 亡くなった女性は魏亞蕊さんとされ、地元魯山県第一高校の歴史学科教師だった。優秀な成績で教師のポストを獲得し、生徒たちからは優しく熱心な先生として慕われていたという。事件当日、住宅には赤い喜字が貼られ、迎親の鞭炮が鳴り響く中、突然の惨事は近隣住民を震撼させた。現場にいたメイク担当者も恐怖で固まったと伝えられる。

 魏さんは自殺直前に微信朋友圏に遺書を投稿し、その内容がネット上で公開された。遺書では、大学入学時から始まった親の催婚に11年間抵抗してきた苦しみが綴られている。「大学4年プラス卒業後の7年、合計11年闘ったが、負けた」と述懐。教師として努力し、成績で1位を取って公立学校に採用されたが、親にとっては「結婚こそが娘の最大の価値」との見方が変わらず、彼女の人生観を完全に崩壊させたという。

 抵抗の過程では、泣き叫ぶ、発狂する、刀で脅す、自殺をほのめかすなど極端な方法も取ったが、親の執念は揺るがなかった。さらに親戚からは「結婚しないのは不孝」との道徳的圧力が加わり、最終的に絶望的な選択に至ったとみられる。

 遺書のもう一つの特徴は、後事の処理を友人に託した点だ。「晴れた風の強い日に骨灰を散らしてほしい」と書き、この世への未練のなさを示した。一方で、親族や婚約者側の家族には一切触れず、魏さんが予感していたかのように、事件後、両家とも遺体を引き取ろうとせず「キックボール」状態になった。女方家族は彩礼(結納金)27万元(約593万円)の返還を要求したとの情報もあり、ネットユーザーから強い非難を浴びている。遺体は翌11日に魯山県葬儀館に運ばれた。

 男方については、会社員で再婚の可能性が指摘される声もあるが、詳細は不明。魏さんの遺書には「相手が鼻にかけて苛立たせる」との記述もあり、当日の何らかのトラブルが引き金になった可能性が議論されている。

 この事件は、中国社会で根強い「適齢期結婚」の圧力や、彩礼をめぐる家族間の対立を象徴するものとして注目を集めている。生徒の一人は「魏先生は魯山の花瓷碎片を愛し、歴史を生き生きと教えてくれた」と悼み、彼女の死を惜しむ声が相次ぐ。一方で、親の行動に対する批判も強く、「家族の愛が強制に変わった悲劇」との意見が多い。

 専門家は、こうした逼婚が若者の精神的健康を脅かす要因だと指摘。事件を機に、個人の選択を尊重する社会風潮の必要性が再認識されている。

(中国経済新聞)