9月24日、中国商務部は記者会見を開催し、「中国は責任ある発展途上大国として、WTO(世界貿易機関)の現在および将来の交渉において、新たな特別・差別待遇を求めない」との方針を発表した。この立場は、国際貿易体制の維持とグローバル経済ガバナンスの推進における中国の新たな役割を示す重要な表明である。
中国商務部の国際貿易交渉代表兼副部長である李成鋼氏は、今回の決定が国際および国内の大局を踏まえたものであると説明した。中国は世界第二位の経済大国として、多辺貿易体制の強化とグローバル経済の持続可能な発展を促進する責任を認識している。この方針は、中国がグローバル開発イニシアチブ(GDI)の実践およびグローバルガバナンスの改善に向けた積極的な取り組みの一環として位置づけられる。
李氏は、「中国が新たな特別・差別待遇を求めないという決定は、多辺貿易体制を断固として支持する姿勢を示すものだ」と強調。グローバル貿易・投資の自由化と円滑化を促進するための「強心剤」となり、グローバル経済ガバナンス改革のプロセスにポジティブなエネルギーを注入すると述べた。
特別・差別待遇は、WTO協定において発展途上国に対し、市場開放やルール適用において一定の柔軟性を認める仕組みである。中国はこれまで、発展途上国としての地位を背景にこの待遇を受けてきたが、経済規模の拡大と国際的影響力の増大に伴い、こうした特権を積極的に放棄する姿勢を明確化した。
この決定は以下の点で重要な意義を持つ:
- 多辺貿易体制の強化:中国が新たな特別待遇を求めないことで、WTO交渉における公平性と透明性が向上し、ルールに基づく国際貿易体制の信頼性が強化される。
- グローバルガバナンスへの貢献:中国が責任ある大国として、グローバル経済ガバナンス改革に積極的に参加する姿勢を示す。これは、気候変動、デジタル経済、サプライチェーン安定化など、新たな貿易課題への対応にも影響を与える。
- 国際協力の促進:中国のこの立場は、発展途上国と先進国の間の橋渡し役としての役割を強化し、WTO改革の進展を後押しする。
この方針は、中国が国内経済の質的向上と国際的責任のバランスを取る中で、グローバル経済のリーダーシップをさらに発揮する決意を反映している。