中国証券監督管理委員会(証監会)は財務不正を最重要の取締り対象とし、行政処分を強化している。対象となった10社余りはいずれも複数年にわたり虚偽の売上や利益を計上しており、「重大違法による強制退市」の典型例だ。
例えば、東通(ドントン)は9月13日に処分事前告知を受けた。調査によると、同社は4年間にわたり売上・利益を水増しし、証券法規に違反。証監会は会社に2億2900万元(約45億8000万円)の罰金を科し、役員7名に合計4400万元(約8億8000万円)の罰金を命じた。さらに実際の支配者で元董事長の黄永軍(ホアン・ヨンジュン)には10年間の市場参入禁止措置を下した。
同様に、高鴻(ガオホン)は、実態のないパソコン販売など「循環取引」で収益を粉飾。8月8日に証監会は会社に1億6000万元(約32億円)の罰金、さらに関与した第三者に700万元(約1億4000万円)**の罰金を科す方針を示した。
証監会は金銭罰に加え、違法行為の中心人物には「資格剥奪罰」を科すのが特徴だ。東方集団、錦州港、卓朗科技(ジュオラン・コージー)、紫天退、広道の5件では、複数の役員に対して「証券市場への終身参加禁止」を適用している。
今年3月6日に上場廃止となった卓朗科技(ジュオラン・コージー)は、「退市に関する新規則」施行後、初めての重大違法強制退市案件として注目された。
同社は2019~2023年の5年間にわたり、売上を合計18億元超(約360億円)、利益を13億元超(約260億円)水増ししていた。証監会は同社と9名の関係者に対し合計3800万元(約7億6000万円)の罰金を科し、当時の総経理張坤宇(ジャン・クンユー)、副総経理戴穎(ダイ・イン)に対しては終身の市場参入禁止を決定した。
中国当局は「資本市場の健全性」を掲げ、財務不正を断固取り締まる姿勢を鮮明にしている。年内だけで10社以上が重大違法で退市に追い込まれたことは、規制強化の象徴といえる。今後も「金銭罰」+「資格剥奪罰」という二重の制裁が強化され、上場企業経営者に対する警戒心が一層高まる見通しだ。
(中国経済新聞)