7億円超の汚職!中国フードデリバリー大手“餓了么”前CEO逮捕

2025/08/1 10:42

中国のフードデリバリー大手「餓了么(Ele.me)」の前CEO、韓鎏氏が、4000万元(約7億6000万円)を超える賄賂受領の容疑で逮捕された。この事件は、インターネット企業幹部の汚職問題に再びスポットライトを当て、外売業界の巨額な利益の裏に隠された闇を浮き彫りにした。

上海警察は7月24日、「上海経偵ECID」微信公式アカウントを通じて、インターネット企業幹部による商業賄賂事件を摘発したと発表した。この事件では、韓鎏氏を含む受賄および贈賄の容疑者7名が逮捕され、涉案金額は4000万元以上に上る。調査によると、韓氏は2023年7月から2025年5月までの約2年間、物流配送業務の管理やサプライヤーの選定、評価、補助金支給などの権限を悪用し、複数のサプライヤーから30回以上にわたり賄賂を受け取っていた。さらには、利益に応じてサプライヤーに分け前を要求するなど、組織的な汚職行為が確認された。賄賂の現金や物品は、韓氏が複数の賃貸住宅に分散して隠していたことも明らかになっている。

外売業界は、中国の急速なデジタル化と都市部のライフスタイル変化に伴い、爆発的な成長を遂げてきた。餓了么や美団などのプラットフォームは、膨大なユーザー基盤と物流ネットワークを背景に、巨額の収益を上げている。しかし、こうしたプラットフォームの利益構造は不透明な部分が多く、特に物流やサプライヤー管理の分野では、権限を持つ幹部が不正な利益を得る余地が大きい。韓氏の事件では、サプライヤーが大中都市での配送業務資格を取得するために巨額の賄賂を支払い、時には利益の按分まで求められていたことが明らかになった。このような事例は、外売業界の裏側で、権力と金銭が密接に結びついた「ブラックチェーン」が形成されていることを示唆している。

韓氏の逮捕は、インターネット企業における反腐敗の動きが加速していることを象徴している。中国の「大廠(大手テック企業)」では、近年、内部の汚職摘発が相次いでおり、阿里巴巴、唯品会、抖音などの企業でも同様の不正行為が報告されている。企業内部の「自浄作用」だけでなく、警察や監督機関による積極的な介入が、こうした問題の根深さを浮き彫りにしている。上海警察の「礪剣2025夏季戦役」では、企業からの通報をきっかけに韓氏の不正が発覚し、迅速な捜査が進められた。

業界関係者によると、外売プラットフォームの幹部は、サプライヤーやパートナー企業との「関係構築」の名目で、頻繁に豪華な宴会や贈答品のやり取りを行っている。これらの接待は、表面上はビジネス上の慣行とされているが、実際には賄賂や利益供与の隠れ蓑となっているケースが多い。韓氏の事件では、サプライヤーが提供する金銭や物品が、業務契約の獲得や継続のための「必要経費」として扱われていたことが判明した。このような慣行は、業界全体の透明性と公正性を損なうだけでなく、消費者に転嫁されるコスト増加の要因ともなり得る。

(中国経済新聞)