中国自動車市場の発展状況

2022/06/1 08:00

中国は生産・販売ともに世界第1位の自動車市場であり、近年は新型コロナウイルスや景気後退の影響を受け変動はあるものの、安定した成長基調を維持している。

2021年の自動車生産台数は2,608.2万台、自動車販売台数は2,627.5万台で、2020年に比べてそれぞれ3.4%、3.8%増加した。2022年も新型コロナウイルスが自動車市場に大きな影響を与えているが、上海市と広東省が一斉に新エネルギー車購入者に対して1万元(約19万円)を提供するなど、各地で自動車購入奨励策が導入され、新車購入の盛り上がりを後押しする可能性があり、2022年も自動車販売の勢いは維持できると予想される。

自動車のエネルギー消費構造を見ると、新旧のエネルギー源に大きく分かれており、燃料自動車が依然として消費の中心であるが、新エネルギー車の開発は急速に進んでおり、上海や北京などの大都市では、ナンバープレートオークションを必要としない新エネルギー車を導入しているため、多くの人が電気自動車を選んで購入している。中国汽車協会のデータによると、2021年の伝統的燃料車の販売台数は2275.4万台で前年比5%減、新エネルギー車の累積販売台数は352.1万台で前年比157.5%増となった。

現在、新エネルギー車は純粋な電気自動車が80%以上を占めており、2021年の販売上位車種は常に宏光MINIがトップで、テスラ(Tesla) Model Y、Model3、 理想ONEなどB+クラスの車種も上位にランクインしている。

地域別では、購入制限のあるメガシティが依然として新エネルギー車消費の中心であるが、ここ2年間は需要が安定し、販売台数の伸びやシェアが低下しており、購入制限のない大中都市や県・農村市場での販売シェアが徐々に高まってきている。

2021年の成都、蘇州、佛山などでは、新エネルギー乗用車の前年比増加率はそれぞれ181.9%、236.4%、341.4%であった。

ブランド別では、中国国内の独立系ブランドが力強く台頭し、新しい自動車製造勢力が多様な発展パターンを見せている。2021年の中国国内ブランドの販売台数は829.8万台、前年比20.6%増、市場シェアは41.2%と前年比5.5ポイント増、合弁会社と海外ブランドの販売は1184.8万台、前年比4.5%減となった。

2021年の新エネルギー乗用車の小売販売台数上位15社のうち、中国国内ブランドが12社を占めている。中国政府は、2035年までに新車のエネルギーを完全に新エネルギーにするという目標を掲げており、今後10年間で、中国の新興新エネルギー車メーカーが、人工知能(AI)や電動化技術などと組み合わせて、従来の自動車メーカーを追い抜き、中国自動車市場の主流となると予想されている。

(中国経済新聞 吉川綾乃)